確認日:2026年10月8日 / 対象:国民健康保険に加入している個人事業主・フリーランス 制度の内容は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式ページ・お住まいの市区町村で確認してください。この記事は保険の加入を勧めるものではなく、個別の相談でもありません。
この記事の読み方:制度の仕組みは全国共通の部分が中心です。市区町村ごとに違う部分は、必ずお住まいの自治体で確認してください。
会社員が病気で休むと、健康保険から「傷病手当金」という手当が出ます。では、国民健康保険に入っている個人事業主は、どうなるのでしょうか。
この記事では、会社員との違いと、病気やケガで働けなくなったときに使える制度、そして備えの考え方を整理します。
結論:国保には、会社員のような傷病手当金の仕組みが基本的にない
会社員(協会けんぽ)の傷病手当金
協会けんぽの案内では、次のとおりです。
- 業務外の病気やケガで、仕事に就けないとき
- 連続して3日間(待期)休み、4日目以降の休んだ日に支給
- 給与が支払われている間は支給されない(給与が手当より少ない場合は差額が支給)
- 支給期間は、開始した日から通算1年6か月
- 1日あたりの金額は、標準報酬月額の30分の1×3分の2
(出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」)
国民健康保険の場合
- 国民健康保険の傷病手当金は、市区町村が条例などで定めた場合に「行うことができる」とされる任意の給付です(国民健康保険法)。法律上の必須の給付ではありません。
- 厚生労働省は、令和2年(2020年)に、新型コロナウイルスに感染した会社などに勤める人(被用者)を対象とした傷病手当金について、市区町村などに支給を検討するよう要請しました。個人事業主が対象の一般的な制度ではありません。
- 福山市のホームページにも、傷病手当金の案内があります。ただし、対象は新型コロナに感染した会社などに勤める人(被用者)で、対象期間は2020年1月1日から2023年5月7日の間に感染し、働けなかった期間です(2024年4月1日更新のページ)。個人事業主が、今、病気で休んだときに使える制度ではありません。
- 業種別の国民健康保険組合などでは、独自の給付を設けている場合があります。加入している組合の案内で確認してください。
つまり、自分で備えることが基本になります。
(出典:厚生労働省 事務連絡「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対する傷病手当金の支給等について」令和2年3月10日)
使える公的な制度
① 高額療養費制度(医療費の負担を抑える)
1か月の自己負担が上限を超えたとき、超えた分が戻ります。詳しくは、高額療養費制度の申請の流れをご覧ください。ただし、これは医療費の負担を抑える制度です。休んでいる間の生活費(収入)は、補いません。
② 国民年金の保険料の免除・納付猶予
病気などで収入が減り、保険料を払うのが難しいときは、免除や納付猶予を申請できます。
- 免除は、全額・4分の3・半額・4分の1の4種類。納付猶予は、20歳以上50歳未満が対象です。
- 申請先は、お住まいの市区町村の国民年金の窓口、または年金事務所(郵送も可)。
- 申請できるのは、納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)です。
- 免除された期間があっても、病気やケガで障害や死亡といった事態が起きて一定の要件に当てはまる場合は、障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れることがあります。
- 全額免除の期間は、将来の年金額が、全額納付した場合の2分の1で計算されます(納付猶予は年金額には反映されません)。
(出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除・納付猶予制度」)
③ 小規模企業共済の「傷病災害時貸付け」(加入している場合)
すでに小規模企業共済に入っている人は、病気やケガで入院したときに、低金利で事業資金を借りられる制度があります。
- 資格:一般貸付けの資格を取得していること(加入後、12か月以上の掛金を納付していることなど)。そのうえで、疾病・負傷の場合は、5日以上入院(退院後の通院を含めて5日間)したことの診断書による証明が必要
- 申込期間は、入院した日から6か月以内
- 貸付限度額は50万円以上1,000万円以内(5万円単位)、貸付期間は500万円以下で36か月・505万円以上で60か月、利率は年0.9%(中小機構のページ。確認日時点)
- これは「もらえるお金」ではなく借りるお金です。条件や利率は変わることがあるため、申し込む前に、必ず中小機構の案内で最新の内容を確認してください。
(出典:中小機構 小規模企業共済「共済契約者貸付」)
備えの考え方(民間保険や貯蓄)
公的な制度だけでは、働けない間の収入を補いにくいのが実情です。そのため、次のような備えを考える人が多くいます。
- 生活防衛資金(貯蓄):収入が途絶えても、生活と事業の固定費をまかなえるだけの現金
- 民間の保険:就業不能保険、所得補償保険、医療保険など。商品によって、保障の範囲、待ち期間(支払いが始まるまでの期間)、保険料が大きく違います。
考えるときのポイント
- 月にいくら必要か:生活費、事業の固定費(家賃、ローン、国保税、年金)を書き出す
- 何か月分の備えがあるか:貯蓄で何か月もつか
- 足りない分を、何で補うか:保険、家族の収入、共済の貸付など
- 待ち期間はどれくらいか:保険は、休んでからすぐには支払われないことがあります
特定の商品をおすすめするものではありません。複数の商品の内容を比べて、自分の状況に合うか判断してください。保険の相談サービスを利用する場合も、勧められるまま加入せず、内容をよく確認しましょう。
チェックリスト
- 毎月の生活費と事業の固定費がいくらか、把握している
- 収入が途絶えたとき、貯蓄で何か月分あるか分かっている
- 国民年金の免除・納付猶予の申請ができることを知っている
- 加入している国保組合などに、独自の給付がないか確認した
- 小規模企業共済に入っている場合、貸付制度を確認した
- 民間の保険が必要か、条件(待ち期間など)を含めて検討した
まとめ
- 会社員の傷病手当金は、国保には基本的にない(市区町村が条例で定めた場合のみ。個人事業主向けの一般的な制度ではない)
- 医療費の負担は、高額療養費制度で抑えられる
- 収入が減ったときは、国民年金の免除・納付猶予が使える。障害年金などの保障が残る場合もある
- 「働けない間の生活費」は、貯蓄や民間保険などで自分で備えるのが基本
ケースで確認(仮の例)
※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字は、公式の計算式で計算しています。実際の金額は、状況によって変わります。
Bさん(個人事業主・国保)が、病気で数か月働けなくなった場合の「備え」の考え方
- 毎月の生活費:20万円
- 毎月の事業の固定費(家賃、ローン、保険料など):5万円
- 合計:月25万円が、収入がなくても出ていく
- 手元の貯蓄:150万円
- 貯蓄でまかなえる期間:150万円 ÷ 25万円=6か月
この例では、6か月を超えて働けない場合に、備えが足りなくなります。この差を、貯蓄を増やす、民間保険で補う、家族の収入に頼る、などのどれで埋めるかを、考えます。
よくある質問
- 国民健康保険で、休業中の収入は補償されますか?
- 個人事業主向けの一般的な制度はありません。傷病手当金は、市区町村が条例で定めた場合に行える任意の給付です。加入している国保組合に、独自の給付がないかも確認してください。
- 就業不能保険などの民間保険は、必ず必要ですか?
- 必ず必要とは言えません。生活費と事業の固定費、貯蓄で何か月もつかを整理し、足りない分を何で補うかで判断します。
- 国民年金の保険料が払えないときは?
- 免除や納付猶予を申請できます。申請できるのは、納付期限から2年を経過していない期間です。
- 入院したとき、事業資金を借りられる制度はありますか?
- 小規模企業共済に加入していれば、傷病災害時貸付けがあります(5日以上入院、入院日から6か月以内の申込み)。借りるお金です。
あわせて読みたい
- 高額療養費の申請の流れ|国保の個人事業主向け:医療費の自己負担を、上限までに抑える制度
- 国民年金が払えないとき|免除・納付猶予の申請方法:収入が減って、国民年金が払えないときの免除・納付猶予
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- 小規模企業共済とは|掛金が全額所得控除・加入条件・注意点:個人事業主の退職金にあたる共済制度と、貸付制度
この記事の確認方法
- 協会けんぽの「傷病手当金」のページで、会社員の傷病手当金の要件・期間・計算を確認しました。
- 厚生労働省の事務連絡(令和2年3月10日)で、国保の傷病手当金が条例等で定めて行える任意の給付であることを確認しました。
- 福山市の案内で、傷病手当金が新型コロナ感染者(被用者)向けの特例で、対象期間が2020年1月1日〜2023年5月7日であることを確認しました。
- 日本年金機構(国民年金の免除・納付猶予)と、中小機構(小規模企業共済の傷病災害時貸付け)の公式ページを確認しました。
- 確認日:2026年10月8日。
最終更新日:2026年10月8日
公式リンク(確認日:2026年10月8日)
- 協会けんぽ:傷病手当金
- 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対する傷病手当金の支給等について(事務連絡)
- 日本年金機構:国民年金保険料の免除・納付猶予制度
- 中小機構:小規模企業共済 共済契約者貸付
- 福山市:国民健康保険

