確認日:2026年10月8日 / 対象:個人事業主・フリーランス(これから加入を考える人) 制度は改正によって変わることがあります。加入の前に、必ず中小機構などの公式ページで最新の内容を確認してください。この記事は税務相談・金融商品の勧誘ではありません。個別の判断は、税務署・税理士・中小機構の窓口にご相談ください。
個人事業主には、会社員のような退職金がありません。そのための制度の1つが、小規模企業共済です。国の機関(中小機構)が運営する、個人事業主や小規模な会社の役員のための、退職金のような共済制度です。
最大の特徴は、掛金の全額を、所得から差し引ける(所得控除)ことです。ただし、20年(240か月)未満で自分の都合で解約すると、掛金の合計額を下回るなど、注意する点もあります。この記事では、メリットと注意点を、公式の情報で整理します。
この記事でわかること
- 小規模企業共済の仕組みと、掛金の全額が所得控除になること
- 加入できる人(従業員数の条件など)
- 共済金の受け取り方と、解約するときの注意
- 事業資金の貸付制度、iDeCoとの違い
結論:節税と退職金づくり。ただし「解約の条件」を先に確認
小規模企業共済は、次のような制度です(中小機構の「制度のしおり(令和8年6月改訂版)」より)。
- 掛金は月1,000円〜7万円(500円単位)で選べる。加入後も増額・減額ができる
- 掛金は全額が所得控除の対象(小規模企業共済等掛金控除)
- 個人事業の廃止などの事由が起きたとき、共済金を受け取れる(掛金納付月数が6か月以上の場合)
- 共済金は、一括受取りは退職所得扱い、分割受取りは公的年金等の雑所得扱い
- 納付した掛金の範囲内で、事業資金などの貸付けを受けられる(担保・保証人は不要)
- 自分の都合の解約(任意解約)で、掛金納付月数が240か月(20年)未満だと、掛金合計額を下回る。12か月未満は、掛け捨て
(出典:中小機構「小規模企業共済 制度のしおり」、国税庁 タックスアンサー No.1135)
掛金と税金(所得控除)
掛金
- 月額1,000円〜7万円の範囲で、500円単位で選べます。
- 掛金の納付は、預金口座振替です(振替日は毎月18日。18日が休日などの場合は翌営業日)。
- 掛金月額は、増額・減額ができます(月1,000円〜7万円の範囲)。
- 所得がなく掛金の納付が著しく困難なときなどは、掛止め(6か月または12か月、納付を停止)ができます。ただし、掛止め期間は、共済金などの計算の期間に入りません。
税金(小規模企業共済等掛金控除)
- 国税庁の案内では、その年に支払った掛金の全額が、所得から差し引けます(小規模企業共済等掛金控除)。
- 確定申告で、支払った掛金の証明書などを添付または提示します。
- 事業の必要経費にはなりません(掛金は、事業主ご自身の収入の中から納付する扱い)。
- 税金が実際にいくら軽くなるかは、所得税率や住民税などで変わるため、この記事では金額を示しません。
(出典:中小機構「制度のしおり」、国税庁 タックスアンサー No.1135)
加入できる人・できない人
中小機構の「制度のしおり」にある、主な加入資格は、次のとおりです。
| 事業の種類 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|
| 建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)など | 20人以下 |
| 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
- 対象は、個人事業主、会社などの役員、個人事業主の共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)などです。
- 「常時使用する従業員」には、家族従業員や臨時の従業員は含まれません。
- 加入には、個人事業主の場合、所得税の確定申告書の控え(事業を始めたばかりで確定申告書がない場合は開業届の控え)などを窓口で示します。
- 加入できない例:給与所得者(事業を兼業している会社員など)、役員登記されていない人、中小企業退職金共済(中退共)などの被共済者、生命保険外務員、配偶者などの事業専従者(共同経営者の要件を満たす場合は共同経営者として加入可)など。
- 開業届については、開業届の出し方|期限・提出方法・一緒に出す届出で整理しています。
加入の申込みは、中小機構と契約している商工会・商工会議所・青色申告会などの団体や、銀行・信用金庫などの金融機関の窓口で行います(支店によっては取り扱っていない場合があります)。
(出典:中小機構「制度のしおり」、共済サポートnavi)
共済金の受け取りと税金
共済金を受け取れる主な場合
| 区分 | 主な事由(個人事業主の場合) |
|---|---|
| 共済金A | 個人事業の廃止、個人事業主の死亡 など |
| 共済金B | 老齢給付(65歳以上で、掛金を180か月以上納付した人が請求) など |
- 共済金A・Bは、掛金納付月数が6か月以上で受け取れます(6か月未満は掛け捨て)。
- 掛金納付月数が36か月未満の場合の共済金は、掛金合計額と同額です。
- 受け取り方は、一括、分割、一括と分割の併用から選べます。
税金の扱い
| 受け取り方 | 税法上の扱い |
|---|---|
| 一括受取り(死亡以外) | 退職所得扱い |
| 分割受取り | 公的年金等の雑所得扱い |
| 任意解約(解約手当金) | 一時所得扱い(65歳以上の場合は退職所得扱い) |
実際の手取り額(源泉徴収や、退職所得控除の計算)は、個々の状況で変わります。具体的な金額は、中小機構や税務署で確認してください。
(出典:中小機構「制度のしおり」)
解約するときの注意(元本割れ・掛け捨て)
自分の都合で解約する「任意解約」では、受け取れるお金は解約手当金になります。中小機構の「制度のしおり」では、次のように説明されています。
- 掛金納付月数が12か月未満:掛け捨て(解約手当金は出ない)
- 12か月以上84か月未満:掛金合計額の80%
- 84か月目から:6か月ごとに段階的に増え、240か月以上246か月未満で100%、最高で120%
- 240か月(20年)未満は、掛金合計額を下回る
- 掛金月額を変更している場合は、240か月以上でも掛金合計額を下回ることがある
加入するときは、「やめたくなったときに、いくら戻るか」を、先に確認しておくことが大切です。
(出典:中小機構「制度のしおり」、「小規模企業共済にデメリットはあるの?」)
貸付制度(事業資金・緊急時)
納付した掛金から計算される貸付限度額の範囲内で、事業資金などの貸付けを受けられます。担保・保証人は不要です。主な種類は、次のとおりです。
- 一般貸付け:事業資金などの貸付け(加入後12か月以上の掛金を納付していることなど、資格の条件があります)
- 傷病災害時貸付け:入院や災害で、経営に支障が出たとき
- 緊急経営安定貸付け:売上が一時的に減って、資金繰りに支障が出たとき
- そのほか、創業転業時・新規事業展開等貸付け、福祉対応貸付け、事業承継貸付け、廃業準備貸付けがあります
金利について、中小機構のページには、一般貸付けが年1.5%、そのほかの貸付けで年0.9%などの記載があります。金利は変わることがあるため、借りるときは最新の条件を確認してください。
(出典:中小機構「制度のしおり」、「小規模企業共済にデメリットはあるの?」)
iDeCo(個人型確定拠出年金)との違い
中小機構のページによると、小規模企業共済とiDeCoは、併用できます。主な違いは、次のとおりです。
| 項目 | 小規模企業共済 | iDeCo |
|---|---|---|
| 掛金 | 月1,000円〜7万円(500円単位) | 自営業者は月6.8万円まで(中小機構のページの記載) |
| 受け取り | 廃業時など、60歳前でも受け取れる場合がある | 原則として60歳になるまで引き出せない |
| 税金(掛金) | 全額所得控除 | 全額所得控除 |
| 貸付制度 | あり | なし |
iDeCoの加入条件や掛金の上限は、制度改正で変わることがあります。詳しくは、iDeCoの公式ページ(国民年金基金連合会など)で確認してください。
(出典:中小機構「小規模企業共済とiDeCoは併用できる?」)
加入の前に確認すること
- 自分が加入資格を満たすか:従業員数、確定申告(または開業届)をしているか
- 掛金を、無理なく続けられる額か:月1,000円から始められ、増額・減額もできる
- 20年未満でやめたら元本割れになることを理解したか(12か月未満は掛け捨て)
- 事業の資金繰り:掛金は必要経費にならない。貸付制度の条件も確認
- ほかの老後の備え(国民年金、iDeCoなど)との組み合わせ
- 加入窓口:商工会・商工会議所・青色申告会、または銀行・信用金庫などで申込み
ケースで確認(仮の例)
※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字は、中小機構の「制度のしおり」にある表と支給率を使って、検算しています。実際の金額は、掛金の変更などの状況によって変わります。
例①:Iさんは、月額1万円(年12万円)で加入した
- 掛金は、年間12万円が所得控除の対象
- 20年(240か月)続けた場合、掛金合計額は240万円(1万円 × 240か月)
- しおりの表では、掛金月額1万円・20年で、共済金Aは2,786,400円(源泉徴収前)
例②:Jさんは、月額3万円で加入したが、3年(36か月)で自分の都合で解約した
- 掛金合計額:3万円 × 36か月 = 108万円
- 12か月以上84か月未満なので、解約手当金は、掛金合計額の80% = 108万円 × 0.8 = 86万4千円(21万6千円の元本割れ)
- ※実際の計算は、中小機構で確認してください
よくある質問
- 掛金の全額が所得控除になるのは、本当ですか?
- 国税庁の案内(No.1135)では、小規模企業共済等掛金控除として、その年に支払った掛金の全額が控除の対象です。ただし、税金が実際にいくら軽くなるかは、人によって異なります。
- 掛金は、事業の経費になりますか?
- なりません。所得控除(小規模企業共済等掛金控除)として扱われます。
- 途中でやめると、損をしますか?
- 自分の都合の解約で、掛金納付月数が12か月未満だと掛け捨て、240か月(20年)未満だと、掛金合計額を下回ります。
- 会社員でも入れますか?
- 給与所得者は、加入資格がありません。個人事業主や会社の役員などが対象です。
- 掛金を払えなくなったら?
- 所得がなく掛金の納付が著しく困難なときなどは、掛止め(6か月または12か月)ができます。掛金月額の減額もできます。詳しくは中小機構に相談してください。
- iDeCoと一緒に使えますか?
- 中小機構のページでは、併用できると案内されています。
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この記事の確認方法
- 中小機構の「小規模企業共済 制度のしおり(令和8年6月改訂版)」で、加入資格、掛金、掛止め、共済金A・B、解約手当金の支給率、税法上の扱い、貸付制度、加入手続きを確認しました。
- 中小機構の「共済サポートnavi」と、小規模企業共済のサイトで、掛金・任意解約・iDeCoとの併用・デメリットの説明を確認しました。
- 国税庁のタックスアンサー No.1135で、小規模企業共済等掛金控除の内容を確認しました(令和8年4月1日現在法令等)。
- 貸付の限度額の計算、金利の最新値、共済金の手取り額の計算、掛金の上限の今後の改正は、確認できていないため、断定せず、公式の案内を見るよう書いています。
- 確認日:2026年10月8日。
最終更新日:2026年10月8日
公式リンク(確認日:2026年10月8日)
- 中小機構:小規模企業共済
- 中小機構:小規模企業共済の掛金
- 中小機構:小規模企業共済 制度のしおり(PDF)
- 中小機構:小規模企業共済とiDeCoは併用できる?
- 国税庁:No.1135 小規模企業共済等掛金控除

