確認日:2026年10月9日 / 対象:国民年金の第1号被保険者(個人事業主・フリーランス) 制度は改正によって変わることがあります。加入の前に、必ず日本年金機構・国民年金基金連合会などの公式ページで最新の内容を確認してください。この記事は金融商品の勧誘・税務相談ではありません。個別の判断は、年金事務所・税務署・各窓口にご相談ください。
個人事業主は、会社員のような厚生年金がなく、国民年金(老齢基礎年金)が基本です。そこに上乗せする方法として、付加年金、国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)、そして小規模企業共済があります。
どれも「払った掛金が、税金を軽くする(所得控除)」という共通点がありますが、引き出せる時期や途中でやめたときの扱い、同時に入れるかどうかは、制度ごとに違います。この記事では、公式の情報で、違いと選び方の手がかりを整理します。
この記事でわかること
- 4つの制度のちがい(掛金・引き出し・やめたとき)
- 同時に入れる組み合わせと、入れない組み合わせ
- 2026年12月から変わること(iDeCoと国民年金基金の上限など)
- 掛金で税金がどう軽くなるか(控除の種類と、確定申告のポイント)
結論:「月400円の付加年金」が入口。基金とiDeCoは、引き出しとやめ方を先に確認
- 付加年金:月400円で、将来の年金額を上乗せ(200円×納付月数)。2年以上受け取れば、払った額以上になります(日本年金機構)。
- 国民年金基金:国民年金に上乗せする公的な年金。いったん入ると、自分の都合で脱退できません。
- iDeCo:自分で運用する年金。原則として60歳になるまで引き出せません。元本割れもあります。
- 小規模企業共済:退職金のような制度。くわしくは小規模企業共済とはで整理しています。
- 付加年金と国民年金基金は、同時に入れません。
(出典:日本年金機構、国民年金基金連合会、中小機構)
4つの制度を比べる
| 付加年金 | 国民年金基金 | iDeCo | 小規模企業共済 | |
|---|---|---|---|---|
| 運営 | 日本年金機構(国民年金の一部) | 国民年金基金(公的年金) | 国民年金基金連合会(運営管理機関で申込み) | 中小機構 |
| 掛金 | 月400円 | 自分で選ぶ(上限あり) | 自分で選ぶ(上限あり) | 月1,000円〜7万円 |
| 受け取る額 | 200円×納付月数(定額・終身) | 選んだ型・口数で決まる | 掛金+運用の成果 | 共済金など(事由・年数で決まる) |
| 引き出し | 年金として受け取る | 年金として受け取る | 原則60歳から | 廃業などの事由で受け取れる |
| やめたいとき | 申出で納付をやめられる | 任意に脱退できない | 60歳まで原則引き出せない(手続きは公式で確認) | 12か月未満は掛け捨て、240か月未満は元本割れ |
| 税金(掛金) | 社会保険料控除(国民年金保険料) | 社会保険料控除 | 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済等掛金控除 |
(出典:日本年金機構、国民年金基金連合会、iDeCo公式サイト、中小機構、国税庁 No.1130・No.1135)
付加年金:月400円で、年金を上乗せ
日本年金機構の案内によると、国民年金の第1号被保険者や任意加入被保険者は、定額の保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。
- 付加年金の額(年額):200円 × 付加保険料を納めた月数。たとえば、40年(480か月)納めると、200円×480=年96,000円です。
- 2年以上受け取れば、納めた付加保険料以上の年金になります。終身の年金ですが、定額で物価スライド(増額・減額)はありません。
- 納付は、申し出をした月分からです。さかのぼって納めることはできません。
- 納付期限は、納付対象月の翌月末日です。期限を過ぎても、2年間は納められます。
- 申込み:「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を、市区町村の窓口や年金事務所に出します(電子申請もあります)。
入れない人
- 国民年金保険料の免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人(産前産後免除中は、納められます)
- 国民年金基金の加入員
- (免除・猶予については、国民年金が払えないとき|免除・納付猶予の申請方法で整理しています)
(出典:日本年金機構「付加保険料の納付」「付加年金」)
国民年金基金:上乗せの公的年金。ただし、脱退できない
国民年金基金連合会の案内によると、国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者などが、国民年金に上乗せして受け取る公的な年金です。
- 加入できる人:20歳以上60歳未満の第1号被保険者(60歳以上65歳未満で任意加入している人などを含む)。
- 加入できない人:国民年金保険料を免除(一部免除・納付猶予・学生納付特例を含む)されている人、農業者年金の被保険者(産前産後・育児期間の免除中は加入できます)。
- 給付の型:1口目は終身年金のA型・B型から選びます。2口目以降は、終身年金のほか、期間が決まっている確定年金も選べます。
- やめるとき:加入は任意ですが、いったん加入すると、自分の都合で脱退できません。納めた掛金は、将来、年金として支払われます(脱退一時金などでは返ってきません)。
- 国民年金の保険料を滞納すると、その期間に対する基金の年金給付は受け取れません。
- 付加年金との関係:基金の1口目に付加年金に相当する部分が含まれているため、基金に入ると付加保険料は納められません。
- 税金:掛金は全額が所得控除(社会保険料控除)の対象です。
- 掛金の上限:現在は、iDeCoと合わせて月6万8,000円です(下の「2026年12月から変わること」も参照)。
(出典:国民年金基金連合会「加入条件・資格」「給付の種類」「よくある質問」、国税庁 No.1130)
iDeCo(個人型確定拠出年金):自分で運用。60歳まで引き出せない
iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会が運営)の案内によると、iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用して、資産をつくる年金制度です。
- 原則として、60歳にならないと引き出せません(障害状態になった場合や、死亡した場合などは別)。
- 元本が確保されていない商品もあります。運用の成果で、受け取る額が増えることも、減ってしまうこともあります。
- 手数料がかかります(金融機関によって異なります)。
- 課税所得がない人は、掛金の所得控除は受けられません。所得控除は、本人の所得からのみ引かれます(配偶者の所得からは引けません)。
- 税金(掛金):国税庁の案内では、個人型年金加入者掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象で、支払った掛金の全額が控除できます。
- 付加年金との併用:日本年金機構の案内では、iDeCoと付加年金は同時に加入できます。ただし、iDeCoには拠出限度額があり、拠出額によっては付加保険料と併用できない場合があるため、申込み先の金融機関(運営管理機関)に確認するよう案内されています。
(出典:iDeCo公式サイト、日本年金機構「付加保険料の納付」、国税庁 No.1135)
2026年12月から変わること(iDeCoと国民年金基金)
厚生労働省の資料(「令和8年12月からiDeCoがパワーアップします」)に、次の変更が示されています。
| 項目 | 現在 | 令和8年(2026年)12月から |
|---|---|---|
| 第1号被保険者の拠出限度額(月額。国民年金基金と合わせて) | 6万8,000円 | 7万5,000円 |
| iDeCoの拠出ができる年齢 | 原則65歳まで(現在の要件) | 70歳まで拠出が可能に(要件あり) |
- 国民年金基金連合会のサイトにも、「掛金上限額が75,000円へアップします」という案内が出ています(2026年10月5日付)。
- 年齢の引き上げには、要件があります(iDeCoの加入者・運用指図者などで、老齢基礎年金などを受け取っていない人など)。令和11年11月末までは、経過措置があります。くわしくは、厚生労働省の資料とiDeCo公式サイトで確認してください。
- 国民年金基金の掛金の上限の取り扱い(1口目を含む上限の表記など)は、基金のサイトの最新の案内で確認してください。
(出典:厚生労働省「令和8年12月からiDeCoがパワーアップします」、国民年金基金連合会)
同時に入れる?組み合わせの早見表
| 組み合わせ | 同時に入れる? |
|---|---|
| 付加年金 × 国民年金基金 | 入れない(基金に入ると付加保険料は納められない) |
| 付加年金 × iDeCo | 入れる(ただし、iDeCoの限度額の都合で併用できない場合がある) |
| 国民年金基金 × iDeCo | 入れる(ただし、合わせて上限月6万8,000円〔2026年12月から7万5,000円〕) |
| 小規模企業共済 × iDeCo | 入れる(中小機構の案内) |
| 小規模企業共済 × 付加年金・国民年金基金 | この記事では確認できていません(それぞれの窓口で確認) |
(出典:日本年金機構、国民年金基金連合会、中小機構)
税金は、どう軽くなる?(控除の種類と確定申告)
| 制度 | 控除の種類(国税庁) |
|---|---|
| 付加年金(付加保険料) | 社会保険料控除(国民年金の保険料として) |
| 国民年金基金 | 社会保険料控除(国民年金基金の掛金) |
| iDeCo | 小規模企業共済等掛金控除(個人型年金加入者掛金) |
| 小規模企業共済 | 小規模企業共済等掛金控除 |
- どれも、その年に支払った額の全額が、所得から引けます(国税庁 No.1130・No.1135)。
- 確定申告では、支払った額を証明する書類(控除証明書)を、添付または提示します。
- 国税庁の案内によると、令和8年分以後の確定申告書を、令和9年1月1日以後に出すときは、証明書の代わりに、一定の事項を書いた明細書を添付できるようになります。
- 軽くなる税金の目安は、トリモドシ診断|小規模企業共済の節税額で、掛金の額を入れて確認できます(全額が所得控除になる点は同じなので、iDeCoなどの目安としても使えます。ただし、制度ごとの上限と条件は、別に確認してください)。
(出典:国税庁 No.1130「社会保険料控除」、No.1135「小規模企業共済等掛金控除」)
加入の前に確認すること
- 国民年金の保険料を、きちんと納めているか(免除・猶予中は、付加年金・基金に入れません)
- 付加年金か、国民年金基金か(同時には入れません)
- 引き出し・やめたときの条件を理解したか(基金は脱退できない/iDeCoは60歳まで引き出せない/共済は20年未満で元本割れ)
- iDeCoは、手数料と元本割れのリスクを、金融機関の資料で確認したか
- 掛金を、無理なく続けられる額か(収入が減る年もあります)
- 上限(基金とiDeCoは合算)を確認したか。2026年12月からの変更も
- 課税所得があるか(所得がないと、所得控除の効果はありません)
ケースで確認(仮の例)
※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字は、日本年金機構の計算式と、国税庁の速算表で、検算しています。実際の金額は、状況によって変わります。
例①:Kさんは、国民年金に付加保険料を上乗せした(1年間)
- 付加保険料:400円 × 12か月 = 4,800円
- その1年分から増える付加年金(年額):200円 × 12か月 = 2,400円
- 4,800円 ÷ 2,400円 = 2年。年金を2年以上受け取れば、払った付加保険料以上になる(日本年金機構の案内と同じ)
- 40年(480か月)納めた場合は、200円×480=96,000円(年額)
例②:Lさんは、iDeCoに月2万円(年24万円)を拠出した。課税される所得金額は250万円(仮)
- 年間の掛金:2万円 × 12か月 = 24万円(全額が所得控除)
- 所得税(復興特別所得税を含む):250万円→226万円になり、約155,702円 → 131,198円(約24,504円の減)
- 住民税の目安:24万円 × 10% = 約24,000円
- 合計で、税金が軽くなる目安は、約48,504円(掛金24万円の約2割)
- 掛金は、60歳まで原則引き出せません。運用の成果で、受け取る額は変わります
よくある質問
- 付加年金は、お得ですか?
- 日本年金機構の案内では、付加年金は、2年以上受け取れば、納めた付加保険料以上の年金になります。ただし、物価スライドがない定額の年金です。受け取る年数は、人によって異なります。
- 付加年金と国民年金基金を、両方使えますか?
- 使えません。基金に入ると、付加保険料は納められません(基金の1口目に、付加年金に相当する部分が含まれています)。
- 国民年金基金は、途中でやめられますか?
- 任意に脱退することはできません。納めた掛金は、将来、年金として支払われます。
- iDeCoの掛金の上限は、いくらですか?
- 自営業者など(第1号被保険者)は、国民年金基金と合わせて、現在は月6万8,000円です。厚生労働省の資料では、令和8年12月から、7万5,000円になります。
- 免除を受けていても、付加年金・基金に入れますか?
- 国民年金保険料の免除・猶予を受けている間は、付加年金も国民年金基金も入れません。ただし、産前産後の免除中は付加保険料を納められ、国民年金基金は産前産後・育児期間の免除中も加入できます(日本年金機構・国民年金基金連合会)。
- 掛金は、事業の経費になりますか?
- 国税庁の案内では、これらは所得控除(社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除)です。必要経費ではありません。
あわせて読みたい
- 小規模企業共済とは|掛金が全額所得控除・加入条件・注意点:個人事業主の退職金にあたる共済制度
- トリモドシ診断|小規模企業共済の節税額:掛金から、軽くなる所得税・住民税の目安を計算
- 国民年金が払えないとき|免除・納付猶予の申請方法:免除・猶予中は、付加年金・基金に入れない
- 個人事業主の年間やることカレンダー:確定申告・納付の期限を、月別にまとめた一覧
この記事の確認方法
- 日本年金機構の「付加保険料の納付」「付加年金」のページで、付加保険料(月400円)、付加年金の額、納付できない人、iDeCoとの併用の注意を確認しました。
- 国民年金基金連合会のサイト(加入条件・資格、給付の種類、加入によるメリット、よくある質問)で、加入できる人、脱退できないこと、付加年金との関係、掛金の所得控除を確認しました。トップページで、掛金上限額の引き上げの案内を確認しました。
- iDeCo公式サイトで、60歳まで引き出せないこと、元本割れ、手数料、所得控除の注意を確認しました。
- 厚生労働省の「令和8年12月からiDeCoがパワーアップします」で、第1号被保険者の拠出限度額と、70歳まで拠出できる変更を確認しました。
- 国税庁のタックスアンサー No.1130(社会保険料控除)・No.1135(小規模企業共済等掛金控除)で、控除の種類と、令和8年分以後の明細書の扱いを確認しました。
- iDeCoの加入条件の細かい点、付加保険料を納める場合のiDeCoの具体的な限度額、国民年金基金の掛金・年金額の目安、受け取るときの税金は、確認できていないため、断定せず、公式の案内を見るよう書いています。
- 確認日:2026年10月9日。
最終更新日:2026年10月9日
公式リンク(確認日:2026年10月9日)
- 日本年金機構:付加保険料の納付
- 日本年金機構:付加年金
- 国民年金基金連合会:国民年金基金(制度について知る)
- 国民年金基金連合会:加入条件・資格
- iDeCo公式サイト:iDeCoの加入を検討されている方へ
- 厚生労働省:令和8年12月からiDeCoがパワーアップします(PDF)
- 中小機構:小規模企業共済とiDeCoは併用できる?
- 国税庁:No.1130 社会保険料控除
- 国税庁:No.1135 小規模企業共済等掛金控除

