確認日:2026年10月11日(令和8年4月1日現在の法令等) / 対象:親の介護が始まった(または近づいている)個人事業主・フリーランス 税制は改正によって変わることがあります。申告の前に、必ず国税庁の最新の案内を確認してください。この記事は税務の個別相談ではありません。
親の介護が始まると、気になるのは「自分の確定申告で、何か使える控除はあるのか」「自分の国保や年金に、影響はあるのか」です。会社員なら会社の担当者に聞けますが、個人事業主・フリーランスは、自分で調べて、自分で申告します。
この記事では、親の介護にかかわる税金と保険を、個人事業主の目線で整理します。使える可能性があるのは、次の3つです。
- 親を扶養に入れる扶養控除
- 介護にかかった費用の医療費控除
- 要介護認定を受けた親の障害者控除
介護そのものの制度(申請の流れ・自己負担・相談窓口)は、運営者の別サイト「フクヤマファミリーライフ」で整理しています。
この記事の読み方
- 税金の話は全国共通です。金額は所得税(国税庁)のもので、令和8年分(2026年分、2027年に申告)の要件で書いています。
- 住民税の控除額は所得税と異なります。この記事では、福山市が公表している金額だけを載せています。
- 介護は、家族の状況によって、使える制度が変わります。「自分のケースは使えるか」は、最後は税務署・市の窓口で確認してください。
この記事でわかること
- 親を扶養に入れられる条件と控除額(老人扶養親族48万円・同居老親等58万円)
- 親が施設に入ったときの、扶養控除の扱い
- 介護費用が医療費控除の対象になるもの・ならないもの
- 要介護認定を受けた親が使える障害者控除(福山市の認定の手続き)
- 自分の国保税の介護分(40〜64歳)と、親の介護保険料の違い
- 仕事を続けながら介護するときの、フリーランス法の配慮
結論:介護が始まったら、まず「親の所得」と「領収証」を確認する
- 扶養控除は、親の合計所得金額(令和8年分は62万円以下)と、生計を一にしているかで決まります。
- 医療費控除は、介護サービスの種類によって対象になるものが違います。領収証に、控除の対象になる金額が書かれているので、必ず保管します。
- 障害者控除は、要介護認定を受けている親でも、市の認定書があれば使える場合があります。認定書がなければ、使えません。
- 自分の国保の介護分は、40〜64歳の人にかかります。65歳以上の親の介護保険料とは、別の仕組みです。
親を扶養に入れる:扶養控除
金額
国税庁の案内(令和8年4月1日現在)では、70歳以上の扶養親族(老人扶養親族)の控除額は、次のとおりです。
| 親の状況(その年の12月31日現在) | 控除額 |
|---|---|
| 70歳以上で、同居している父母・祖父母など(同居老親等) | 58万円 |
| 70歳以上で、同居老親等以外(別居の親、施設に入所している親など) | 48万円 |
- 70歳未満の親は、一般の扶養親族として38万円です(16歳以上の場合)。
条件
次のすべてに当てはまる親が、扶養親族です。
- 配偶者以外の親族であること
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が、令和8年分から62万円以下(令和7年分は58万円以下)であること
- 青色事業専従者として給与を受けていないこと、白色事業専従者でないこと
(出典:国税庁 No.1180 扶養控除、令和8年4月1日現在法令等)
年金だけで暮らす親の場合
親の収入が年金だけなら、年金収入から「公的年金等控除」を引いた額が、所得になります。年金収入が同じでも、所得は、年金の種類や年齢で変わります。扶養に入れられるかは、「年金の収入」ではなく、「年金の所得」で判断します。
計算は、国税庁の公的年金等の雑所得の速算表(No.1600)で確認してください。この記事では、年金収入ごとの目安の金額は載せていません(確認できていないためです)。
親が施設に入ったとき
- 老人ホームなどの施設に入所している場合は、その施設が居所になるため、同居には該当しません。この場合は、同居老親等の58万円ではなく、48万円の区分です。
- 一方、病気の治療で入院して別居している場合は、期間が長くても、同居として扱って差し支えないとされています。
(出典:国税庁 No.1180)
「生計を一にする」の意味(別居の親に仕送りしている場合など)は、国税庁のQ&Aで確認してください。
兄弟姉妹で、親の扶養を分けるとき
親を扶養に入れる人が、きょうだいで重ならないよう、誰の扶養に入れるかを話し合っておくと安心です(重複したときの扱いや、損得の判断は、この記事では確認できていません。税務署や税理士に確認してください)。
介護にかかった費用:医療費控除
介護保険サービスの利用料のうち、一部は医療費控除の対象になります。ただし、サービスの種類によって、対象かどうかが違います。
対象になるもの・ならないもの(居宅サービス)
国税庁の案内(No.1127)では、居宅サービスは、次のように分かれます。
| 区分 | 主なサービス |
|---|---|
| 単独で対象 | 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション(医療機関などでのデイケア)、短期入所療養介護 |
| 医療系サービスと併せて利用する場合だけ対象 | 訪問介護(生活援助中心型を除く)、訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)など |
| 対象外 | 生活援助中心型の訪問介護、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)、福祉用具貸与 |
- 「併せて利用」の判断は、1か月単位のケアプランに医療系サービスが入っているかで行います。居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)から交付される「サービス利用票」で確認します。
- 介護保険の給付の対象になる部分の自己負担額が、対象です。
- 事業者が発行する領収証には、医療費控除の対象になる金額が記載されることになっています。領収証は保管してください。
- 高額介護サービス費の払戻しを受けた場合は、その額を、医療費から差し引きます。
(出典:国税庁 No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価)
施設サービス
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院などの施設サービスの自己負担額も、医療費控除の対象になる部分があります(国税庁 No.1122)。施設ごとに、対象になる金額が違い、施設の領収証に、対象の金額が記載されます。細かい割合は、この記事では確認できていません。領収証の記載を見るか、税務署に確認してください。
おむつ代
- 傷病により、おおむね6か月以上寝たきりで、医師の治療を受けており、おむつの使用が必要と認められる場合は、おむつ代が医療費控除の対象になります。
- 控除を受けるには、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。
- 要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する確認書などで、証明書に代えられる場合があります。
(出典:国税庁 No.1122)
家族の医療費は合算できる
医療費控除は、生計を一にする家族の医療費を、合算できます。親の分も、自分が支払った分なら、自分の医療費控除に含めます。計算のしかた・手順は、医療費控除のやり方|個人事業主の計算・手順で整理しています。
要介護認定を受けた親:障害者控除
65歳以上で、障害者に準ずると市町村長などが認定した人は、身体障害者手帳などがなくても、障害者控除の対象になります(国税庁 No.1160)。
金額(所得税)
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者(納税者・配偶者・生計を一にする親族のいずれかと同居) | 75万円 |
- この控除は、納税者本人・同一生計配偶者・扶養親族が、障害者に当てはまるときに使えます。親が扶養親族のときに、使える控除です。
福山市の「障がい者控除対象者の認定」
福山市では、65歳以上で、寝たきりや認知症などにより、身体障がい者等に準ずると認められる人を、市が認定しています(福山市高齢者支援課、2025年10月1日更新)。
- 控除額(福山市の案内):所得税 特別障がい者40万円・障がい者27万円、市県民税 特別障がい者30万円・障がい者26万円
- 要介護・要支援の認定を受けている人:申請書のみ(診断書は不要)
- 認定を受けていない人:申請書に加えて、診断書または民生委員の意見書
- 窓口:高齢者支援課(084-928-1064、福山市役所本庁舎3階)、松永・東部・北部・神辺の各保健福祉課、新市・沼隈の各支所
- 身体障がい者手帳などがある人は、原則、認定は不要(手帳の区分が「障がい者」で、「特別障がい者」として控除を受けたいときは認定が必要)
(出典:福山市「老齢者の障がい者控除対象者の認定」)
認定を受けても、自動で控除されるわけではありません。確定申告のときに、認定書の内容を書いて申告します。
自分の国保と、親の介護保険料
自分の国保:40〜64歳は「介護分」がかかる
- 国民健康保険の保険税は、医療分・支援分・介護分(40歳以上65歳未満の人だけ)・子ども分からなります。自分が40歳になると、介護分が加わります。
- 国保に入っている40〜64歳の介護保険料は、国民健康保険税の介護分として、世帯主が納めます(福山市「40歳から64歳までの人の介護保険料」)。
- 福山市の令和8年度の税率や、軽減・減免は、国保税が高い・払えないとき|軽減と減免の仕組みで整理しています。
親の介護保険料(65歳以上)
- 65歳以上の親の介護保険料は、所得に応じた段階で決まり、年金が年額18万円以上の人は、原則年金から天引きされます(福山市「65歳以上の人の介護保険料」)。
- 親の介護保険料は、親が支払う保険料です。自分が支払った場合は、社会保険料控除の対象になる場合があります(国税庁 No.1130。生計を一にする親族の保険料を、自分が支払ったとき)。
医療費と介護費が重いとき
同じ医療保険の世帯で、医療費と介護サービスの自己負担の合計が、1年間で一定の額を超えると、超えた分が支給される高額医療・高額介護合算制度があります。→ 高額療養費の申請の流れ|国保の個人事業主向け
仕事を続けながら介護するとき:フリーランス法の配慮
業務委託をしている発注者は、フリーランスからの申出に応じて、妊娠・出産・育児・介護と仕事を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません(フリーランス・事業者間取引適正化等法 第13条)。
- 6か月以上の業務委託は、配慮が義務、6か月未満は努力義務です。
- 配慮の例として、介護のために、特定の曜日はオンラインで就業することなどが、厚生労働省・公正取引委員会などのガイドラインに挙がっています。
- 申出は、介護を行う具体的な予定のある人もできます。
くわしくは、自営業・フリーランスに育休はない?出産前後に使える制度と手続きの「フリーランス法」の章で整理しています。
介護そのものの制度は、別サイトで
福山市の介護保険の申請、自己負担を軽くする制度、相談窓口は、運営者の別サイト「フクヤマファミリーライフ」で整理しています。
- 福山市で親に介護が必要かもしれないと思ったら|介護保険の申請の流れと相談窓口
- 福山市の介護保険|自己負担(1〜3割)の決まり方と、費用の負担を軽くする制度
- 福山市で親の介護について相談できる窓口まとめ|状況別の相談先と電話番号
手続きの前に確認すること
- 親の年齢を確認した(その年の12月31日現在で判定)
- 親の合計所得金額が、62万円以下(令和8年分)か確かめた(年金の場合は所得で判断)
- 親と生計を一にしているか確認した
- 親が施設に入所している場合は、扶養控除が48万円の区分になることを確かめた
- 介護サービスの領収証を保管している(控除の対象になる金額が記載されたもの)
- ケアプランのサービス利用票で、医療系サービスの有無を確認した
- 要介護認定を受けているなら、福山市の障がい者控除対象者の認定を申請するか検討した
- きょうだいで、親を誰の扶養に入れるかを話し合った
よくある疑問
Q. 年金暮らしの親を扶養に入れられますか? A. 親の合計所得金額が62万円以下(令和8年分)なら、条件を満たします。年金は、収入から公的年金等控除を引いた所得で判断します。計算は、国税庁のNo.1600で確認してください。
Q. 別居している親は、扶養に入れられませんか? A. 別居でも、生計を一にしているなら、扶養親族になる場合があります。その場合、70歳以上なら控除額は48万円(同居老親等の58万円ではない)です。
Q. ヘルパーさんの家事援助(掃除・料理)は、医療費控除になりますか? A. 生活援助中心型の訪問介護は、医療費控除の対象外です。
Q. デイサービスの費用は、医療費控除になりますか? A. 医療系サービスと併せて利用する場合だけ、対象になります。単独で使っている場合は、対象になりません。ケアプランの内容は、ケアマネジャーに確認します。
Q. おむつ代は、毎年、証明書が必要ですか? A. 国税庁の案内では、おむつ代の控除にはおむつ使用証明書が必要です。2年目以降に、毎年取り直すかどうかは、この記事では確認できていません。税務署で確認してください。
Q. 要介護認定を受けていれば、自動で障害者控除が使えますか? A. 使えません。福山市の障がい者控除対象者の認定を受けて、認定書を取る必要があります。要介護認定を受けている人は、申請書のみで申請できます。
Q. 住民税の控除額は、所得税と同じですか? A. 異なります。障がい者控除の住民税の金額は、福山市の案内(市県民税:障がい者26万円・特別障がい者30万円)で確認できます。扶養控除の住民税の金額は、この記事では確認できていません。
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この記事の確認方法
- 国税庁のタックスアンサーNo.1180(扶養控除)、No.1122(医療費控除の対象となる医療費)、No.1127(介護保険制度下での居宅サービス等の対価)、No.1160(障害者控除)の原文(令和8年4月1日現在法令等)で、金額、条件、対象になるサービスを確認しました。
- 福山市の「老齢者の障がい者控除対象者の認定」(2025年10月1日更新)、「65歳以上の人の介護保険料」「40歳から64歳までの人の介護保険料」で、認定の手続き、窓口、保険料の納め方を確認しました。
- 施設サービスの医療費控除の細かい割合、年金収入ごとの扶養の目安、おむつ使用証明書を毎年取り直すか、住民税の扶養控除の金額は、確認できていないため、断定せず、公式ページで確認するよう書いています。
- 確認日:2026年10月11日。
最終更新日:2026年10月11日
公式リンク(確認日:2026年10月11日)
- 国税庁:No.1180 扶養控除
- 国税庁:No.1122 医療費控除の対象となる医療費
- 国税庁:No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価
- 国税庁:No.1160 障害者控除
- 国税庁:No.1600 公的年金等の課税関係
- 福山市:老齢者の障がい者控除対象者の認定
- 福山市:40歳から64歳までの人の介護保険料
- 福山市:65歳以上の人の介護保険料

