確認日:2026年10月11日(令和8年4月1日現在の法令等) / 対象:自宅の一部を事務所・作業場にする予定の、個人事業主・フリーランス 税制は改正によって変わることがあります。契約や申告の前に、必ず国税庁の最新の案内を確認してください。この記事は税務の個別相談ではありません。
自宅を買う・建てるときに、「一部を仕事部屋にしたら、住宅ローン控除は使えるのか」「事務所にした部分は、経費にできるのか」と迷う人は多いはずです。会社員なら考えなくてよい点ですが、個人事業主は、自宅の使い方によって、税金の計算が変わります。
この記事では、自宅兼事務所の住宅について、次の3つを国税庁の公式情報で整理します。
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の、基本の条件
- 事務所を兼ねるときの、床面積と借入金の考え方
- 事務所部分の、経費(家事関連費・減価償却)の考え方
福山市で住宅を取得するときの補助や税の軽減は、運営者の別サイト「フクヤマファミリーライフ」で整理しています。
この記事の読み方
- 税金の話は全国共通です。この記事は、新築、または建築後に使われていない住宅を取得した場合(国税庁 No.1211-1)を中心に書いています。中古住宅・買取再販住宅は、別のページなので、国税庁で確認してください。
- 借入限度額の金額は、国税庁の図表で確認する必要があり、この記事には載せていません。
- 「自分のケースが当てはまるか」の最終判断は、契約の前に、税務署・税理士に確認してください。
この記事でわかること
- 住宅ローン控除の条件と、令和8・9年に入居する場合の控除期間・限度額
- 事務所を兼ねると、床面積の判定がどうなるか(2分の1以上が居住用)
- 事務所部分の借入金は、住宅ローン控除の対象外になること
- 事務所部分の固定資産税・水道光熱費・減価償却の考え方
- 初年度の確定申告で用意するもの
結論:住宅ローン控除は「居住用の部分」だけ。事務所の部分は、経費の考え方で別に整理する
- 住宅ローン控除は、床面積の2分の1以上を、専ら自分の居住用にしていることが条件です。事務所が半分を超えると、対象になりません。
- 控除の対象になる借入金は、居住用の部分に対応する額です。事務所部分の借入金は含まれません。
- 事務所部分にかかる固定資産税・水道光熱費・減価償却費などは、家事関連費の考え方で、区分できる部分だけを必要経費にします。
- 個人事業主は年末調整がないので、確定申告で、住宅ローン控除を受けます。
住宅ローン控除の基本
条件(新築等の場合)
国税庁の案内(No.1211-1、令和4年1月1日から令和12年12月31日までに入居)では、主な条件は次のとおりです。
- 床面積が50㎡以上で、床面積の2分の1以上を、専ら自分の居住の用にしていること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
- 床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下(特例の対象となる住宅のみ)
- 借入金の償還期間が10年以上であること(国税庁の質疑応答)
- 控除率は、年末の借入金残高(限度額まで)の0.7%
令和8・9年に入居する場合の控除期間と限度額
住宅の性能(省エネ基準など)によって、控除期間と、年あたりの控除限度額が違います(国税庁 No.1211-1、令和8年4月1日現在)。
| 住宅の区分 | 控除期間 | 控除限度額(年) |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 13年 | 31.5万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 13年 | 24.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 13年 | 14万円 |
| その他の住宅 | 原則、対象外(0年) | ― |
- その他の住宅(省エネ基準に適合しない住宅)は、令和6年以降の入居では、原則、控除の対象外です。ただし、建築確認が令和5年12月31日までなどの経過措置があります(国税庁 No.1211-1の注)。
- 令和8年1月1日以降に入居した場合は、子育て世帯等への上乗せ措置は使えません(同ページの注)。
- 控除額は、「年末残高×0.7%」と「控除限度額」のうち、小さいほうの目安です。借入限度額(年末残高の上限)は、国税庁の図表で、住宅の区分ごとに確認してください。
(出典:国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合)
事務所を兼ねる住宅:床面積と借入金の考え方
床面積は「建物全体」で判定する
店舗・事務所と併用する住宅の床面積は、店舗・事務所の部分を含めた、建物全体の面積で判断します(国税庁)。マンションの場合は、専有部分の面積です。
- 例えば、延べ床面積が120㎡で、そのうち事務所が24㎡なら、50㎡以上の要件は、120㎡で判定します。
- 一方、居住用の部分が、延べ床面積の2分の1以上あることも必要です。上の例では、居住用が96㎡(80%)なので、2分の1以上を満たします。
事務所が建物全体の半分を超えると、「2分の1以上が専ら居住用」を満たさないので、住宅ローン控除の対象にならないことになります。
借入金は「居住用の部分」だけが対象
国税庁の質疑応答では、1階が店舗90㎡・2階が住居90㎡(延べ180㎡)の家屋を、借入金2,000万円で新築した例が示されています。
- 回答:控除の対象になる住宅借入金等の金額は、1,000万円(居住用の部分に対応する額)
つまり、事務所部分に対応する借入金は、対象に含まれません。居住用の割合の計算方法の細かい式は、国税庁の通達で確認してください。
(出典:国税庁 質疑応答事例「店舗併用住宅を新築した場合」、令和7年8月1日現在)
仮の例:延べ120㎡、事務所24㎡
(この数字は、考え方を示すための仮の例です。)
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 延べ床面積 | 120㎡ |
| うち事務所 | 24㎡(20%) |
| うち居住用 | 96㎡(80%) |
| 建物の借入金の年末残高 | 3,000万円 |
| 居住用に対応する借入金(目安) | 3,000万円×80%=2,400万円 |
| 控除額(限度額の範囲内の場合) | 2,400万円×0.7%=16.8万円(年) |
- 実際の控除額は、借入限度額・控除限度額で決まります。土地の借入金も、同じ考え方で、居住用の割合で計算します(国税庁の質疑応答の例)。
居住用と事務所が重なる部屋
リビングで仕事もするなど、居住用と事業用が重なる部屋を、どう区分するかは、この記事では確認できていません。「専ら居住用」の判定は、使い方によって変わるので、設計の段階で、税務署に確認すると安心です。
事務所部分の経費
家事関連費の考え方
自宅の一部を事務所にすると、固定資産税などの税金、水道光熱費も、仕事と生活の両方にかかわる費用(家事関連費)になります。国税庁は、店舗併用住宅の「租税公課、家賃、水道光熱費など」を、家事関連費の例に挙げています(No.2210)。
- 必要経費にできるのは、業務遂行上直接必要であったことが、取引の記録などで明らかに区分できる金額に限られます。
- 区分の基準は、業務に必要な部分が50%を超えるかが原則です。50%以下でも、必要な部分を明らかに区分できる場合は、その部分を必要経費にできます(所得税基本通達45-2)。
家事按分の基本は、経費にできる?できない?|個人事業主の必要経費と家事按分の考え方で整理しています。
仮の例:固定資産税の按分
(仮の例です。按分の割合は、使い方に応じて、自分で説明できるものにします。)
- 年間の固定資産税:12万円
- 事務所の割合(面積):20%
- 必要経費にする額(目安):12万円×20%=2.4万円
減価償却
- 建物は、減価償却資産です。事業に使う部分の取得費用は、一度に全額を経費にせず、耐用年数にわたって、毎年の経費に配分します(国税庁 No.2100)。
- 建物の償却方法は、定額法です。土地は減価償却の対象外です。
- 自宅の事務所部分の減価償却の計算方法は、面積の割合などが考えられますが、国税庁のNo.2100には、自宅の事業部分の取扱いの記載はありません。税務署や税理士に確認してください。
借入金の利息と元本
- 業務のための借入金の利息は、必要経費になります(国税庁 No.2210)。
- ただし、自宅兼事務所の住宅ローンで、利息のうち事務所部分を、どう計算して経費にするかは、この記事では確認できていません。
- 元本の返済は、必要経費になりません。
住宅ローン控除と経費の重なり
同じ借入金の同じ部分を、住宅ローン控除と、必要経費の両方に入れられるかは、この記事では確認できていません。事務所部分は経費、居住用の部分は住宅ローン控除、と分けて考えるのが基本ですが、申告の前に、税務署に確認してください。
初年度の確定申告
- 個人事業主は、年末調整がないので、住宅ローン控除は確定申告で受けます。確定申告の流れは、確定申告の流れ|個人事業主の準備・提出・納付で整理しています。
- 初年度の申告で、一般に必要になるもの(国税庁の案内)は、次のとおりです。
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関から届きます。調書方式に対応した金融機関では、住宅ローン控除適用申請書を金融機関に提出する方法もあります)
- 家屋の登記事項証明書
- 売買契約書または工事請負契約書の写し(土地も借入金に含める場合は、土地の契約書・登記事項証明書も)
- 入居年によって、必要な書類は変わります。自分の入居年分の国税庁の案内で、確認してください。
福山市で住宅を取得するときの支援は、別サイトで
福山市の空家リノベーション補助、新築住宅の固定資産税の減額などは、運営者の別サイト「フクヤマファミリーライフ」で整理しています(子育て世帯向けの内容です)。
契約の前に確認すること
- 延べ床面積が50㎡以上で、居住用が2分の1以上になる設計か
- 自分の合計所得金額が、2,000万円以下か
- 住宅の性能(長期優良・ZEH水準・省エネ基準適合)と、入居の予定年で、控除期間・限度額を確認した
- 借入金の償還期間が10年以上か
- 事務所部分の面積・使い方を、記録に残せる形にした(図面・利用の記録)
- 居住用と事業用が重なる部屋の扱いを、税務署に確認した
- 事務所部分の経費(固定資産税・水道光熱費・減価償却)の按分の考え方を、確認した
よくある疑問
Q. 自宅の一部を事務所にすると、住宅ローン控除は使えませんか? A. 使えます。ただし、居住用の部分が、床面積の2分の1以上あることが条件で、控除の対象になる借入金は、居住用の部分に対応する額です。
Q. 事務所の部分が半分以上でもいいですか? A. 床面積の2分の1以上が専ら居住用という条件を満たさないので、対象になりません。
Q. 中古住宅でも、住宅ローン控除は使えますか? A. この記事は、新築または建築後に使われていない住宅を中心にしています。中古住宅・買取再販住宅は、国税庁の別のページで確認してください。
Q. 事務所部分の住宅ローンの利息は、経費にできますか? A. 業務のための借入金の利息は、必要経費になりますが(No.2210)、自宅兼事務所の住宅ローンの利息の計算方法は、この記事では確認できていません。税務署や税理士に確認してください。
Q. 建物と土地で、考え方は違いますか? A. 住宅ローン控除は、土地の借入金も、居住用の割合で計算します(国税庁の質疑応答の例)。減価償却は、建物は対象、土地は対象外です。
Q. 住宅ローンの審査は、自営業だと不利ですか? A. 審査の見られ方は、金融機関ごとに違います。この記事では、確認できていません。
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- 経費にできる?できない?|個人事業主の必要経費と家事按分の考え方:自宅兼事務所の家賃・光熱費の按分と、記録の残し方
- 確定申告の流れ|個人事業主の準備・提出・納付:住宅ローン控除を受ける、初年度の申告の流れ
- 開業届の出し方|期限・必要なもの・一緒に出す届出:自宅を事務所にして、開業するときの届出
- 青色申告承認申請書の出し方|期限・メリット・手順:事務所部分の経費を、帳簿で区分するための前提
- 基礎控除が変わった|令和7年分・8年分の金額と個人事業主への影響:合計所得金額や、控除の全体像
この記事の確認方法
- 国税庁のタックスアンサーNo.1211-1(住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合)、No.1213、No.2210(必要経費の知識)、No.2100(減価償却のあらまし)、国税庁の質疑応答「店舗併用住宅を新築した場合」、所得税基本通達45-1・45-2の原文で、条件、控除率、控除期間、限度額、床面積の判定、事務所部分の経費の考え方を確認しました。
- 「仮の例」の数字(延べ120㎡・事務所24㎡・借入3,000万円・固定資産税12万円)は、考え方を示すための仮の数字です。計算は、手計算で検算しました。
- 借入限度額の金額、中古住宅の控除、自宅兼事務所の住宅ローン利息の具体的な計算方法、居住用と事業用が重なる部屋の判定、住宅ローン控除と経費の重なり、住宅ローン審査、福山市の固定資産税の減額の事務所部分の扱いは、確認できていないため、断定せず、公式ページや窓口で確認するよう書いています。
- 確認日:2026年10月11日。
最終更新日:2026年10月11日
