経費にできる?できない?|個人事業主の必要経費と家事按分の考え方

経費にできる?できない?(個人事業主の必要経費と家事按分の考え方) もらえるもの

確認日:2026年10月9日 / 対象:個人事業主・フリーランス(事業所得・雑所得などの必要経費。令和8年分=2026年の申告から使える内容) 制度は改正によって変わることがあります。手続きの前に、必ず国税庁の最新の案内を確認してください。この記事は税務相談ではありません。個別の判断(この支出を経費にできるか、按分の割合など)は、税務署・税理士にご相談ください。

個人事業主の税金は、「収入 − 必要経費」で出た所得がもとになります。経費に入れられるものを正しく入れないと、税金を多く払うことになりますし、逆に、入れられないものを入れると、申告の誤りになります。

特に迷いやすいのが、自宅兼事務所の家賃や光熱費、スマホ、ネット代のように、仕事にも生活にも使うものです。この記事では、国税庁と法令の公式情報をもとに、経費になるもの・ならないものと、家事按分(かじあんぶん)の考え方を整理します。

この記事の読み方

  • 必要経費の考え方は、国の制度(全国共通)です。お住まいの地域によって変わりません。
  • この記事は、「考え方」と「判断の基準」を整理したものです。個々の支出が経費になるかどうかは、事業の内容や使い方で変わります。迷うときは、税務署や税理士に確認してください。
  • 「家事按分」の割合を、国税庁が費目ごとに決めている、という案内は、この記事では確認できていません。割合は、実際の使い方から、自分で説明できるように決めます(詳しくは本文)。

この記事でわかること

  • 経費になる費用の基本と、いつの年の経費になるか
  • 家事関連費(仕事と生活の両方にかかわる費用)と、家事按分の判断基準
  • 按分の割合のきめ方と、記録の残し方
  • 経費にならないものと、経費ではなく「控除」になるもの
  • 10万円・40万円の区切り(少額の減価償却資産)
  • 仮の例での計算

結論:経費になるのは「事業に必要な部分」だけ。生活と共通のものは、区分できる部分を記録に基づいて入れる

経費になるもの・按分するもの・ならないもの支出は3つに分かれる。事業のためだけの費用は全額が必要経費。仕事と生活の両方にかかわる費用(家事関連費)は、業務に必要な部分が50%を超えるか、明らかに区分できる部分だけが必要経費(青色申告者は、取引の記録などで直接必要と明らかな部分も)。生活のための費用は必要経費にならない。支出は、3つに分けて考える① 事業のためだけの費用全額が経費例:業務用の借入金の利息事業税(全額)② 仕事と生活の両方にかかわる費用区分できる部分だけ経費例:自宅兼事務所の家賃・光熱費条件:次のどちらか・業務に必要な部分が50%超・必要な部分を明らかに区分できる(青色は、記録で直接必要と明らか)③ 生活のための費用経費にならない例:生活費、所得税・住民税生計を一にする親族への家賃・給与※割合の根拠は、記録に残す
経費になるもの・按分するもの・ならないもの
  • 必要経費は、収入を得るために直接かかった費用(売上原価など)と、販売費・一般管理費など、業務上の費用です(国税庁 No.2210)。
  • 家事上の費用(生活のための費用)は、必要経費になりません。
  • 仕事と生活の両方にかかわる費用(家事関連費)は、業務に必要であったことが明らかに区分できる部分だけが、必要経費になります。
  • 判断の目安として、国税庁の通達は、業務に必要な部分が50%を超えるかで見ます。50%以下でも、必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を経費に入れて差し支えないとされています(所得税基本通達45-2)。
  • 青色申告の承認を受けている人は、取引の記録などに基づいて、業務に直接必要であったことが明らかにされる部分も、経費にできます(所得税法施行令96条)。
  • どの場合も、割合の根拠を、記録に残しておくことが大切です。

(出典:国税庁 No.2210「必要経費の知識」、所得税法施行令第96条、所得税基本通達45-1・45-2)

経費になるお金の基本

国税庁の案内(No.2210)では、事業所得などの必要経費に入れられるのは、次のものです。

  1. 売上原価など、収入を得るために直接かかった費用
  2. その年に生じた販売費、一般管理費その他、業務上の費用

いつの年の経費になるか(債務の確定)

必要経費になるのは、その年に「債務が確定」した金額です。国税庁は、次の3つの要件をすべて満たす場合を、「債務が確定している」としています。

  1. 12月31日までに、債務が成立していること
  2. 12月31日までに、その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
  3. 12月31日までに、金額が合理的に算定できること

つまり、その年に支払っても、債務が確定していなければ、その年の経費にならない場合があります。逆に、支払っていなくても、債務が確定していれば、その年の経費になります。年末の買い物や、支払いのタイミングで迷うときは、この3つの要件で考えます。

(減価償却費のように、債務の確定によらない費用もあります。国税庁 No.2210)

家事関連費と「家事按分」

家事関連費とは

家事上の費用は、必要経費になりません。ただし、個人の事業では、一つの支出が、家事上と業務上の両方にかかわることがあります。これを「家事関連費」といいます。

国税庁の例は、店舗併用住宅にかかる租税公課(固定資産税など)、家賃、水道光熱費などです。自宅兼事務所の家賃や光熱費は、これと同じ考え方になります。

経費にできる部分の条件

国税庁(No.2210)は、家事関連費のうち、必要経費になるのは、「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られる」としています。

法令(所得税法施行令96条)では、次のどちらかに当たる場合です。

経費にできる部分
① だれでも 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が、業務の遂行上必要で、かつ、その必要な部分を明らかに区分できる場合の、その部分
② 青色申告の承認を受けている人 ①のほか、取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分

「主たる部分」の目安は50%

国税庁の通達(所得税基本通達45-2)では、①の「主たる部分」を、業務の遂行上必要な部分が、50%を超えるかで判定します。ただし、50%以下でも、必要な部分を明らかに区分できる場合は、その部分を必要経費に入れて差し支えないとされています。

また、「主たる部分」などは、業務の内容、経費の内容、家族や使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況などを、総合的に考えて判定します(所得税基本通達45-1)。

(出典:国税庁 No.2210、所得税法施行令第96条、所得税基本通達45-1・45-2)

按分の割合は、どう決める?

国税庁の案内では、「この費用は、この割合」という一律の決まりは、この記事では確認できていません。通達の考え方は、実際の使い方を、総合的に見て決めるというものです。割合を決めるときは、自分が税務署に説明できることが基準になります。

使い方に合わせて、次のような基準が、考え方の例になります(公式が定めた割合ではなく、あくまで例です)。

費用 基準の例
自宅兼事務所の家賃・固定資産税 仕事に使う部屋の面積÷住まい全体の面積
電気・水道・ガス 面積、仕事で使う時間・機器の使用状況 など
スマホ・インターネット 通話・通信の記録から、仕事で使った分を区分する
車のガソリン代・保険料など 走行距離や使用日数の記録 など
  • 割合は、毎年見直します。使い方が変われば、割合も変わります。
  • きれいな数字(50%など)に、そろえる必要はありません。ただし、根拠がない割合は、説明できません。

記録の残し方

家事関連費は、「取引の記録などに基づいて」区分することが求められます(国税庁 No.2210)。次の記録を、ふだんから残します。

  • 支出の記録:領収書、請求書、通帳・カードの明細
  • 按分の根拠:部屋の面積(間取り図や、メモ)、使用時間・日数のメモ、通話・通信の記録
  • 按分の割合と計算式:帳簿や、ノートに、割合を決めた理由を一言書いておく

保存期間の目安

国税庁(No.2080、白色申告者の記帳・帳簿等保存制度)では、帳簿は7年間、業務に関して作成・受領した請求書、領収書などは5年間、保存します。青色申告の場合の帳簿書類は、要件を満たす帳簿書類を備え付け、保存します(詳しくは青色申告承認申請書の出し方と、確定申告の流れ)。

経費にならないもの

国税庁(No.2210)によると、次のものは必要経費になりません。

  • 所得税・住民税
  • 罰金、科料、過料など
  • 公務員に対する賄賂など
  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う、地代家賃など(逆に、受け取った人も、所得としては考えません)
  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は、別の制度です)

次のものは、必要経費になります。

  • 事業税:全額が必要経費(個人事業税とはで整理しています)
  • 固定資産税:業務用の部分に限って必要経費
  • 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息

経費ではなく、「控除」になるもの

次のものは、事業の経費ではありませんが、確定申告で、所得から引く「控除」になることがあります。経費の欄ではなく、控除の欄に入れます。

支払ったもの 申告での扱い 詳しい記事
国民年金保険料、国民健康保険税(料) 社会保険料控除 確定申告の流れ
小規模企業共済、iDeCoの掛金 小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済とは、付加年金・国民年金基金・iDeCoの違い
医療費 医療費控除 医療費控除のやり方
ふるさと納税などの寄附 寄附金控除 ふるさと納税

※寄附(ふるさと納税など)を、事業の必要経費にできるかどうかは、この記事では確認できていません。税務署や税理士に確認してください。

10万円・40万円の区切り(少額の減価償却資産)

パソコンや機械、家具など、長く使うもの(減価償却資産)の購入代金は、買った年に全額が経費になるのではなく、使える期間にわたって分けて経費にするのが原則です(国税庁 No.2100)。ただし、金額が小さいものには、特例があります。

1つあたりの取得価額 扱い
10万円未満(または、使用可能期間が1年未満) 全額を、業務に使い始めた年の必要経費にできる
10万円以上20万円未満 一定の要件のもとで、一括して3年間、毎年3分の1ずつを必要経費にできる(一括償却資産)
10万円以上40万円未満(青色申告者の特例) 一定の要件のもとで、年間合計300万円まで、全額をその年の必要経費にできる
  • 青色申告者の特例の対象は、令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満です(令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満)。令和11年3月31日までに取得したものが対象です(国税庁 No.2100)。
  • 特例は、要件を満たす青色申告者が対象です。貸付けの用に供するもの(主要な業務として行う貸付けは除く)は、対象になりません。
  • 金額の判定で消費税を含めるかは、税込経理か税抜経理かで決まります。免税事業者は、税込経理です。

(出典:国税庁 No.2100「減価償却のあらまし」。要件の細かい点は、国税庁の案内で確認してください)

年末にやること(経費の確認)

  • 12月31日までに、債務が確定した費用が、帳簿に入っているか確認する
  • 家事関連費の割合と、根拠の記録を、整理する
  • 領収書・請求書を、そろえて保管する
  • 10万円・40万円の区切りで、買ったものを、どの扱いにするかを決める
  • 経費でなく、控除に入れるもの(国民年金、国保税、共済の掛金、医療費、寄附)の証明書を、そろえる(確定申告の流れ)

手続きの前に確認すること

  • 家事上の費用を、経費に入れていない
  • 家事関連費は、区分できる部分だけを入れている
  • 按分の割合と、その根拠の記録がある
  • 12月31日までに債務が確定した費用だけを、その年の経費にしている
  • 生計を一にする親族への家賃・給与を、経費に入れていない(青色事業専従者給与は別の制度)
  • 所得税・住民税を、経費に入れていない
  • 国民年金・国保税・共済の掛金・医療費・寄附は、経費でなく、控除に入れた
  • 10万円・40万円の区切りで、買ったものの扱いを確認した

ケースで確認(仮の例)

※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字や割合は、仮のものです。割合の基準(面積や、使った記録)は、考え方の例であり、公式が定めた割合ではありません。実際には、ご自身の使い方に合わせて決めてください。

前提:Tさんは、賃貸の住まいの一室を、仕事部屋として使っているフリーランス(青色申告)

例①:家賃(面積で按分する)

  • 家賃:月8万円 × 12か月 = 96万円
  • 仕事部屋:12㎡/住まい全体:48㎡ → 仕事に使う面積の割合は 12 ÷ 48 = 25%
  • 経費に入れる金額:96万円 × 25% = 24万円
  • 記録:間取り図(面積のメモ)と、割合を決めた理由をノートに記載

例②:電気・水道・ガス(家賃と同じ割合で按分する)

  • 年間:14.4万円
  • 経費に入れる金額:14.4万円 × 25% = 3.6万円
  • 記録:割合の根拠を、例①と同じにしたことを、メモに残す

例③:スマホ(通話・通信の記録で区分する)

  • 年間:月8,000円 × 12か月 = 9.6万円
  • 通話・通信の記録から、事業での利用が、6割と区分できた
  • 経費に入れる金額:9.6万円 × 60% = 5.76万円
  • 記録:契約会社の明細(通話・通信の記録)を保存

例④:パソコン(28万円)を、令和8年6月に購入した

  • 青色申告者で、要件を満たす場合は、令和8年4月1日以後に取得した10万円以上40万円未満の資産に当たるため、少額減価償却資産の特例を使うと、その年の必要経費に、全額(28万円)を入れられる(年間合計300万円まで)
  • 特例を使わない場合(または、白色申告の場合)は、通常の減価償却で、使える期間にわたって、分けて経費にする(国税庁 No.2100)

よくある質問

自宅の家賃は、経費になりますか?
自宅を仕事にも使っている場合は、仕事に使っている部分を、区分できる範囲で経費にできます(国税庁 No.2210の「店舗併用住宅」の考え方)。割合の根拠(面積など)を、記録に残してください。
按分の割合は、何%が正しいですか?
国税庁が、一律の割合を決めている、という案内は、確認できていません。実際の使い方から、説明できる割合を決めます(所得税基本通達45-1)。
業務に使う割合が、50%以下でも、経費にできますか?
必要な部分を、明らかに区分できる場合は、その部分を経費に入れて差し支えない、とされています(所得税基本通達45-2)。
青色と白色で、按分の扱いは違いますか?
法令(所得税法施行令96条)では、青色申告の承認を受けている人は、取引の記録などに基づいて、業務に直接必要であったことが明らかにされる部分も、経費にできる、という規定があります。細かい扱いは、税務署や税理士に確認してください。
家族に家賃を払っている場合は?
生計を一にする配偶者や親族に支払う地代家賃などは、必要経費になりません(受け取った人も、所得としては考えません)。ただし、その家族が負担する固定資産税などは、必要経費になる場合があります(国税庁 No.2210)。
国民年金や国保税は、経費にできますか?
経費ではなく、社会保険料控除の対象です。経費の欄ではなく、控除の欄に入れます(確定申告の流れ)。
領収書をなくしたときは?
この記事では、確認できていません。通帳やカードの明細など、支払いの記録を残すことが大切です。具体的な扱いは、税務署や税理士に確認してください。
車や食事代、交際費、書籍代はどうですか?
この記事では、具体的な費目ごとの判断は、確認できていません。仕事のために必要で、区分できるかという、同じ考え方で見ます。迷うときは、税務署や税理士に確認してください。
持ち家の住宅ローンの利息や、減価償却は?
この記事では、確認できていません。自宅を事務所に使っている持ち家の扱いは、税務署や税理士に確認してください。

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この記事の確認方法

  • 国税庁のタックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)の原文で、必要経費の範囲、債務の確定の3要件、家事関連費の扱い、必要経費になるもの・ならないものを確認しました。
  • 所得税法施行令第96条(e-Govの法令データ)で、家事関連費のうち必要経費にできる部分の条件(青色申告者の扱いを含む)を確認しました。
  • 国税庁の所得税基本通達45-1・45-2(法令解釈通達)で、「主たる部分」の判定(業務に必要な部分が50%を超えるか、50%以下でも区分できる場合)を確認しました。
  • 国税庁のタックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」(令和8年4月1日現在法令等)で、10万円未満・一括償却資産・青色申告者の少額減価償却資産の特例(令和8年4月1日以後取得は40万円未満)を確認しました。
  • 国税庁のタックスアンサー No.2080(白色申告者の記帳・帳簿等保存制度)で、帳簿と書類の保存期間を確認しました。
  • 控除になるもの(社会保険料控除など)は、当サイトの既存記事(確認済みの内容)をもとにしています。
  • 按分の割合のきめ方(面積・時間など)は、通達の考え方に沿った例であり、国税庁が定めた割合ではありません。計算例は、仮の数字で検算しました。
  • 具体的な費目ごとの按分割合の決まり、領収書をなくしたときの扱い、持ち家の扱い、車・食事代・交際費・書籍代などの判断、寄附の扱い、電子帳簿保存・インボイスとの関係は、確認できていません。
  • 確認日:2026年10月9日。

最終更新日:2026年10月9日

公式リンク(確認日:2026年10月9日)