ふるさと納税|個人事業主の確定申告・控除の仕組みと上限の目安

ふるさと納税と確定申告(個人事業主の控除の仕組みと上限の目安) もらえるもの

確認日:2026年10月9日 / 対象:個人事業主・フリーランス(令和8年分=2026年中の寄附。2027年に行う申告) 制度は改正によって変わることがあります。手続きの前に、必ず国税庁・総務省の最新の案内を確認してください。この記事は税務相談ではありません。個別の判断は、税務署・税理士・お住まいの市区町村にご相談ください。

ふるさと納税は、寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分が、所得税と住民税から軽くなる制度です。ただし、個人事業主は、会社員のように「ワンストップ特例」では手続きできません。確定申告で、寄附金控除を受けます。

この記事では、個人事業主が、確定申告でふるさと納税の控除を受けるまでの流れと、控除の仕組み、上限額の目安の出し方を、国税庁・総務省の公式情報で整理しました。

寄附は、その年の12月31日まで(その年分)です。年末が近づく前に、全体像をつかんでおくと、迷いません。

この記事の読み方

  • 控除の仕組みと確定申告は、国の制度(全国共通)です。
  • 住民税の控除は、お住まいの市区町村が行います。具体的な上限額や、住民税の手続きは、市区町村に確認してください。
  • 「〇年分」は、その年の1月〜12月の寄附・所得のことです。令和8年分は、2027年の春に申告します。

この記事でわかること

  • 個人事業主が、ワンストップ特例を使えない理由と、確定申告での手続き
  • 控除の計算(所得税・住民税)と、自己負担2,000円の意味
  • 上限額の目安の出し方(仮の例つき)
  • 必要な書類と、申告書の書き方のポイント
  • 返礼品の税金(一時所得)

結論:個人事業主は、確定申告で寄附金控除を受ける。寄附額−2,000円が、所得税・住民税から軽くなる

ふるさと納税の流れ(個人事業主)個人事業主は、ワンストップ特例を使えず、確定申告で寄附金控除を受ける。寄附はその年の12月31日まで。受領証を保管し、翌年3月15日までに確定申告。所得税は還付、住民税は翌年度から減額される。自己負担は2,000円(上限の範囲内)。ふるさと納税の流れ① 寄附するその年の12月31日まで個人事業主は、ワンストップ特例を使えない② 受領証を保管寄附の受領証、または「寄附金控除に関する証明書」③ 確定申告をする翌年3月15日まで(原則)寄附金控除と、住民税の欄に記入④ 税金が軽くなる所得税:申告後に還付住民税:翌年度から減額※自己負担は2,000円(上限の範囲内)
ふるさと納税の流れ(個人事業主)
  • ワンストップ特例は、確定申告が不要な給与所得者などが、寄附先が5団体以内のときに使える制度です。確定申告をする人は、使えません(国税庁・総務省)。個人事業主は、事業所得があるので、確定申告で手続きします。
  • 軽くなる金額は、(寄附額 − 2,000円) が、所得税と住民税から、控除される形です。自己負担は2,000円(上限の範囲内の場合)。
  • 所得税の分は、確定申告のあとに還付され、住民税の分は、翌年度の住民税から減額されます。
  • 寄附は、その年の12月31日までです。申告は、翌年3月15日まで(原則。令和8年分は2027年)。
  • 上限額を超えて寄附すると、超えた分は、自己負担が増えます。

控除の計算のしくみ

国税庁と総務省の案内では、控除は、次の3つの合計です。

控除 計算 対象になる寄附額の上限
所得税 (寄附額 − 2,000円)を所得控除(寄附金控除)。軽くなる額は、控除額 × 所得税率 総所得金額等の40%
住民税(基本分) (寄附額 − 2,000円) × 10% を、税額から控除 総所得金額等の30%
住民税(特例分) (寄附額 − 2,000円) × (100% − 10% − 所得税率)を、税額から控除 住民税の所得割額の20%が限度
  • 所得税率は、課税される所得金額に応じた税率です(5%〜45%。基礎控除の記事でも触れています)。復興特別所得税を加えた率で計算します(国税庁・総務省)。
  • 特例分が、住民税の所得割額の20%を超える場合は、所得割額の20%が特例分になります。この場合、寄附額−2,000円の全額は、控除されません(自己負担が2,000円を超えます)。
  • 自己負担の2,000円は、1回ごとではなく、1年間の寄附の合計に対してかかります(寄附額から差し引く形)。

個人事業主が、ワンストップ特例を使えない理由

  • ワンストップ特例は、確定申告が不要な人のための制度です(総務省・国税庁)。
  • 個人事業主は、事業所得があるので、確定申告をします。そのため、ワンストップ特例の対象外です。
  • もし、寄附のときに、ワンストップ特例の申請書を出していても、確定申告をするなら、その申請は無効になります。申請した分も含めて、すべての寄附を、確定申告に入れて計算します(国税庁)。

上限額の目安の出し方

「いくらまで寄附すると、自己負担が2,000円で済むか」は、住民税の所得割額が基準になります。総務省は、具体的な上限額は、市区町村に確認するよう案内しています。そのうえで、公式の計算式から、目安を出す方法を紹介します。

目安の式(公式の式から導いたもの)

寄附の上限の目安 = 住民税の所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率)+ 2,000円

  • 「特例分が、所得割額の20%になる寄附額」を、公式の式から逆算したものです。
  • 所得税率は、復興特別所得税を加えた率(例:10%なら10.21%)で計算します。
  • 所得割額は、前年の住民税の通知や、前年の確定申告書から、おおまかに見当をつけます。寄附する年の所得が、前年と同じくらいだと仮定した目安です。
  • 実際の上限額は、調整控除などの細かい計算で変わります。目安として使い、迷うときは市区町村に確認してください。

申告の手順

  1. 寄附をする(その年の12月31日まで)。
  2. 寄附の証明書を受け取り、保管する。
  3. 確定申告で、寄附金控除を入れる(翌年3月15日まで)。
  4. 所得税は還付され、住民税は翌年度から減額される。

必要な書類

  • 寄附した自治体が発行する寄附金の受領証(領収書)。
  • 令和3年分の確定申告から、ふるさと納税の場合は、国税庁長官が指定した特定事業者(ポータルサイトなど)が発行する「寄附金控除に関する証明書」でも、受領証の代わりにできます(国税庁)。
  • 確定申告書に添付するか、提出のときに提示します(国税庁 No.1150)。

申告書で見るところ

  • 確定申告書第二表の「寄附金控除に関する事項」に、寄附先の名前と寄附金の額を書きます(国税庁)。
  • 所得税の確定申告書は、住民税の申告書も兼ねています。「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」の欄が書かれていないと、住民税の控除を受けられない場合があります(国税庁)。
  • 確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力すれば、必要な付表や明細書も自動で作られます(国税庁)。

(確定申告の流れで、申告全体の手順を整理しています。医療費控除など、ほかの控除と同じ申告書で、まとめて手続きします。)

返礼品の税金

国税庁の質疑応答事例では、返礼品(特産品)の経済的利益は、一時所得にあたります。その年に、ほかの一時所得がなければ、課税関係は生じません(一時所得には、特別控除があるため)。多くの場合、返礼品だけで、税金がかかることはありませんが、ほかに一時所得がある年(保険の満期金など)は、確認が必要です。

注意すること

  • 上限額を超えた分は、自己負担になります。上限は、所得で変わります。
  • 年末は、手続きに時間がかかることもあります。余裕をもって手続きをしてください。
  • 寄附をした日が、どの年分になるか(特に、年末の決済や、クレジットカード払い)は、この記事では確認できていません。寄附先の自治体や、決済の案内で確認してください。
  • 今後の変更(案):総務省の令和8年3月の資料では、令和8年度税制改正大綱を受けて、令和9年(2027年)寄附分から、特例控除額に定額の上限(193万円)を設ける案が示されています(給与収入1億円相当。高所得者が対象)。多くの個人事業主には、影響が小さいと考えられますが、確定した内容は、総務省の最新の発表で確認してください。

手続きの前に確認すること

  • ワンストップ特例は使えない(確定申告をする)と、理解した
  • 上限額の目安を、住民税の所得割額から、出してみた(迷うときは、市区町村へ)
  • 寄附は、12月31日までに手続きする
  • 寄附の受領証(または、寄附金控除に関する証明書)を、保管した
  • 2027年の確定申告(原則3月15日まで)で、寄附金控除を入れる
  • 申告書の住民税の欄(都道府県、市区町村への寄附)も、記入した

ケースで確認(仮の例)

※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字は、国税庁・総務省の計算式で計算しました。所得割額と所得税率は、仮の数字です。実際の金額は、人によって、住民税の調整控除などで変わります。

前提:Wさんは、住民税の所得割額が20万円。所得税率は10%(復興特別所得税を加えて10.21%)

  • 特例分の上限:20万円 × 20% = 4万円
  • 寄附の上限の目安:4万円 ÷(90% − 10.21%)+ 2,000円 = 約52,100円

例①:Wさんが、5万円を寄附した(上限の範囲内)

  • 寄附額 − 2,000円 = 48,000円
  • 所得税の軽くなる額:48,000円 × 10.21% = 約4,900円
  • 住民税(基本分):48,000円 × 10% = 4,800円
  • 住民税(特例分):48,000円 × (100% − 10% − 10.21%) = 約38,300円(4万円以下なので、上限に当たらない)
  • 合計:約48,000円 → 実質の自己負担は、2,000円

例②:Wさんが、8万円を寄附した(上限を超えた)

  • 寄附額 − 2,000円 = 78,000円
  • 所得税:78,000円 × 10.21% = 約7,960円
  • 住民税(基本分):78,000円 × 10% = 7,800円
  • 住民税(特例分):78,000円 × 79.79% = 約62,240円 → 上限の4万円に頭打ち
  • 合計:約55,760円 → 実質の自己負担は、約24,240円(上限を超えた分は、自己負担が増える)

よくある質問

個人事業主も、ふるさと納税の控除を受けられますか?
受けられます。ただし、ワンストップ特例は使えないので、確定申告で、寄附金控除を受けます(国税庁・総務省)。
ワンストップ特例の申請書を、出してしまいました。
確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請は無効になります。申請した分も含めて、すべての寄附を、確定申告に入れてください(国税庁)。
申告に必要な書類は?
寄附の受領証です。ふるさと納税の場合は、特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」でも構いません(令和3年分から。国税庁)。
上限額は、いくらですか?
所得や、住民税の所得割額で、人によって違います。この記事の式は、目安です。具体的な上限は、お住まいの市区町村に確認してください(総務省)。
返礼品に、税金はかかりますか?
国税庁の質疑応答事例では、返礼品の経済的利益は、一時所得です。その年にほかの一時所得がなければ、課税関係は生じません。
医療費控除と、一緒に申告できますか?
できます。確定申告で、まとめて手続きします(国税庁。医療費控除のやり方)。
寄附は、事業の経費になりますか?
この記事では、確認できていません。税務署か税理士に確認してください。

あわせて読みたい

この記事の確認方法

  • 国税庁のタックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」(令和8年4月1日現在法令等)の原文で、控除の計算式、確定申告の手続き、ワンストップ特例の対象と、申請した人が確定申告をするときの扱いを確認しました。
  • 国税庁のタックスアンサー No.1150「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」で、控除額の式、添付書類(受領証、寄附金控除に関する証明書)を確認しました。
  • 国税庁の質疑応答事例「『ふるさと納税』を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係」で、返礼品が一時所得になることを確認しました。
  • 総務省の「ふるさと納税のしくみ」(税金の控除について、ふるさと納税の流れ)の原文で、控除の計算、対象寄附額の上限、申告の期限と方法、上限額は市区町村に確認することを確認しました。
  • 総務省の「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」(令和8年3月24日)で、令和9年寄附分からの特例控除額の定額上限(案)を確認しました。
  • 上限額の目安の式は、公式の計算式から導いたものです。計算例は、公式の式と、国税庁の所得税率(復興特別所得税込み)で検算しました。
  • 寄附をした日が何年分になるかの扱い、返礼品を事業で使う場合や寄附を経費にできるか、国保税などへの影響、住民税の所得割額の確認方法、令和9年寄附分からの変更の確定内容は、確認できていません。
  • 確認日:2026年10月9日。

最終更新日:2026年10月9日

公式リンク(確認日:2026年10月9日)