会社員から個人事業主へ|辞める前後の手続きと期限【健康保険・年金・税金・雇用保険】

会社員から個人事業主へ(辞める前後の手続きと期限) カレンダー

確認日:2026年10月9日 / 対象:会社員(会社の健康保険・厚生年金に加入)から、個人事業主・フリーランスになる方 手続きや金額は、見直しによって変わることがあります。手続きの前に、必ず各公式ページと、お住まいの市区町村・加入先の最新の案内を確認してください。この記事は税務・社会保険の個別相談ではありません。

会社員をやめて個人事業主になると、会社がやってくれていた手続きを、自分ですることになります。特に、健康保険と年金は、期限が短い(14日・20日)ので、注意が必要です。

この記事では、退職の前後でやることと期限を、時系列で整理します。詳しい手順は、それぞれの記事にリンクしています。

この記事の読み方

  • 年金、所得税、開業届の期限は、国の制度(全国共通)です。
  • 国民健康保険、住民税の手続きや金額は、市区町村ごとに違います。この記事では、福山市(広島県)を例にしています。
  • 会社の健康保険の種類(協会けんぽ、健康保険組合など)で、手続きの期限や保険料が違うことがあります。この記事は、協会けんぽの案内をもとにしています。

この記事でわかること

  • 退職の前・直後・数か月後に、何をするか(時系列)
  • 健康保険の3つの選び方(国民健康保険・任意継続・家族の扶養)
  • 国民年金の手続きと期限
  • 開業届・青色申告、住民税、確定申告の流れ
  • 雇用保険(失業給付)と、事業を始めるときの特例
  • 仮の例での、期限の数え方

結論:退職後は「14日」と「20日」が最初の山。年金と健康保険の切り替えを、最優先に

  • 国民年金:退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所・町村役場で、第1号被保険者の手続きをします(日本年金機構)。
  • 健康保険:次の3つから選びます。
    • 国民健康保険:資格を失った後14日以内(福山市の例)に、市役所で手続き。
    • 任意継続:退職日の翌日から20日以内に、協会けんぽの支部へ申出(協会けんぽ)。最長2年。
    • 家族の扶養:家族の健康保険の扶養の条件を満たす場合。
  • 税金:開業届は、開業した年分の確定申告期限まで。青色申告承認申請書は、開業から2か月以内(1月16日以後に開業した場合)などの期限があります。
  • 住民税:退職後は、残りを自分で納める(普通徴収)ことが多くなります。退職の時期によって、一括徴収になる場合があります。
  • 雇用保険:事業を始めるときは、ハローワークで受給期間の特例(最大3年)を申請できる場合があります。事業開始の翌日から2か月以内です。

(出典:日本年金機構、協会けんぽ、福山市、国税庁、ハローワークインターネットサービス)

退職後の手続きの期限数え始める日は手続きごとに違う。国民年金は退職日の翌日から14日以内、国民健康保険は資格喪失後14日以内(福山市の例)、任意継続は20日以内、青色申告承認申請書は開業の日から2か月以内(1月16日以後に開業)、ハローワークの受給期間の特例は事業開始等の翌日から2か月以内。開業届は開業した年分の確定申告期限まで。退職後の手続きの期限数え始める日は、手続きごとに違います14日以内(退職日の翌日から)国民年金の手続き国保の加入(福山市の例)20日以内(退職日の翌日から)任意継続の申出(退職日までに2か月以上加入)2か月以内(開業・事業開始から)青色申告承認申請書(1月16日以後に開業)ハローワークの特例の申請確定申告期限まで開業届(開業した年分)※日付は、窓口・公式ページで確認
退職後の手続きの期限(数え始める日は手続きごとに違う)

退職の前後でやること:時系列の一覧

時期 やること 期限・メモ
退職の前 退職日と、健康保険の切り替え先を決める。国保税の目安を調べる 診断3で、国保税の目安を計算
会社に、源泉徴収票などの書類の受け取り方を確認する 確定申告で使います
退職日の翌日から14日以内 国民年金(第1号被保険者)の手続き 日本年金機構
資格喪失後14日以内(福山市の例) 国民健康保険の加入手続き 任意継続・扶養を選ぶ場合は不要
退職日の翌日から20日以内 任意継続の申出(選ぶ場合) 協会けんぽ。20日目が土日祝は翌営業日
事業の開始から 開業届を税務署へ 開業した年分の確定申告期限まで
開業の日から2か月以内 青色申告承認申請書(1月16日以後に開業した場合) それ以外は3月15日まで
事業開始等の翌日から2か月以内 ハローワークで、受給期間の特例を申請(該当する場合) 失業給付を受ける予定がある人
住民税の納付書が届いたら 住民税の普通徴収(自分で納付) 市区町村の案内で確認
翌年の確定申告 会社員の給与と、事業所得を合わせて申告 原則3月15日まで

年金:国民年金の第1号被保険者に切り替える

会社員のときの厚生年金から、国民年金(第1号被保険者)に切り替えます。

健康保険:3つから選ぶ

比べる表

① 国民健康保険 ② 任意継続 ③ 家族の扶養
手続きの期限 資格喪失後14日以内(福山市の例) 退職日の翌日から20日以内 家族の加入先に、早めに確認
条件 特になし 退職日までに、被保険者期間が継続して2か月以上 家族の健康保険の扶養の条件を満たすこと
期間 加入している間 最長2年間 条件を満たす間
保険料 市区町村で決まる。前年の所得や世帯の人数などで計算(福山市) 退職時の標準報酬月額×保険料率(上限あり。退職前の2倍の目安) 被扶養者本人の保険料負担はなし
注意 所得が少ないと軽減がある(国保税の軽減・減免) 保険料を期限までに納めないと、資格を失う。傷病手当金・出産手当金は、任意継続の間に発生したものは出ない 収入の条件などで、扶養に入れない場合がある

(出典:協会けんぽ「任意継続」、福山市「国民健康保険税について」)

選ぶときの考え方

  • 国保税の目安は、トリモドシ診断|国保税の軽減判定で、世帯の人数や所得を入れて計算できます(福山市の数字が初めから入っています。ほかの市の数字に変えられます)。
  • 前年の所得が高いと、初年度の国保税が高くなります(福山市の所得割は、前年の所得をもとに計算)。任意継続と、どちらが安いかは、自分の数字で比べてください。
  • 任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額をもとに決まり、原則2年間変わりません。上限があります(協会けんぽ)。
  • 納めた保険料は、確定申告で社会保険料控除の対象です。任意継続の保険料の領収証書は、再発行できませんので、大切に保管してください(協会けんぽ)。
  • 国保の子ども分など、令和8年度の新しい仕組みは、国保税の「子ども・子育て支援金分」とはで整理しています。

税金の手続き

開業届と青色申告

住民税:自分で納めるのが基本

会社員のときは、給料から天引き(特別徴収)されていた住民税が、退職すると、納付書で自分で納める(普通徴収)形になります。退職の時期で、扱いが違います。神戸市の案内を例にすると、次のとおりです(お住まいの市区町村で確認してください)。

退職の時期・状況 残りの住民税
原則 普通徴収(自分で納付)
6月1日〜12月31日に退職し、残りの税額の一括徴収を会社に申し出た 最後の給与などから、一括で天引き
1月1日〜4月30日に退職し、残りの税額を超える給与等がある 本人の申出がなくても、一括徴収(福山市の様式にも、一括徴収が義務づけられていると記載)
他の会社に就職した 新しい会社での特別徴収の申出が必要

年末調整は受けられない:確定申告で精算

年の途中で退職して、再就職しない場合は、年末調整を受けられません。納め過ぎの所得税が戻る場合があり、翌年1月1日から5年間、確定申告(還付申告)できます(国税庁 No.1910)。

  • 事業を始めた年は、会社員の給与と事業所得を合わせて確定申告します。会社の源泉徴収票が必要です。
  • 確定申告の全体の流れは、確定申告の流れをご覧ください。

雇用保険:失業給付と、事業を始めるときの特例

基本手当(失業給付)

ハローワークの案内では、基本手当は、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるのに、職に就けない「失業の状態」にある人が対象です。事業を始める人は、この「失業の状態」に当たるかどうかが、状況によって変わります。ハローワークで、早めに相談してください。

事業を始めた人の「受給期間の特例」

離職日の翌日以後に事業を始めた人(事業を開始した・事業に専念し始めた・事業の準備に専念し始めた)が、事業を行っている期間は、一定の要件を満たすと、最大3年間、受給期間に算入しない特例を申請できます(ハローワーク)。

  • 要件の例:事業の実施期間が30日以上/事業について、就業手当・再就職手当の支給を受けていない/事業により自立することができないと認められる事業ではないこと、など。
  • 申請の期限:事業を開始した日(事業に専念し始めた日、準備に専念し始めた日)の翌日から2か月以内に、住所地を管轄するハローワークへ。
  • 客観的な資料:開業届の写しなどで、事業の開始や内容を確認します。

細かい条件は、ハローワークで確認してください。この記事では、失業給付と事業開始の併用の細かい扱いは、確認できていません。

ケースで確認(仮の例)

※この節は、実在の人物の体験談ではありません。期限の数え方を分かりやすく説明するための仮の例です。日付は、仮のものです。

前提:Eさんは、2027年3月31日(水)に会社を退職し、翌日の4月1日から、個人事業主として開業した(福山市在住、協会けんぽ加入)

やること 数え方 期限(仮)
国民年金の手続き 退職日の翌日(4月1日)から14日以内 4月14日(水)まで
国民健康保険の手続き(国保を選ぶ場合) 資格喪失(退職日の翌日)後14日以内 4月14日(水)までが目安
任意継続の申出(任意継続を選ぶ場合) 退職日の翌日から20日以内 4月20日(火)まで
開業届 開業した年分(令和9年分)の確定申告期限まで 2028年3月15日まで(早めの提出が安心)
青色申告承認申請書 開業の日(4月1日)から2か月以内 開業の日から2か月以内(国税庁で日付を確認)
ハローワーク(特例を使う場合) 事業開始の翌日から2か月以内 4月2日から2か月以内
住民税 4月30日以前の退職で、残りがあれば一括徴収(最後の給与から) 会社と市区町村の案内で確認

※退職日の翌日を数え始めとして、期限の日付を計算しています。実際には、土日祝日の扱いや、書類が届く日で変わります。必ず、窓口で確認してください。

注意すること

  • 14日・20日は短いので、退職前に、準備できるものは準備しておきます(必要な書類は、窓口で確認)。
  • 健康保険に入らない期間をつくらないでください。保険証(資格確認書など)が使えない期間が生じると、医療費が全額負担になる場合があります(協会けんぽ:資格喪失日以降は使用できず、使用した場合は医療費を全額返納する)。
  • 会社の健康保険に家族を扶養に入れていた場合は、家族も保険の切り替えが必要です。
  • 退職後の傷病手当金・出産手当金の継続給付の条件は、この記事では確認できていません。退職前に、加入している健康保険に確認してください。
  • 退職金の税金や、退職後の失業給付の金額は、この記事の対象外です。

手続きの前に確認すること

  • 退職日と、切り替え先の健康保険を決めた
  • 国保税の目安を、診断3などで確認した
  • 国民年金の手続き(退職日の翌日から14日以内)の準備をした
  • 任意継続を選ぶなら、20日以内の申出書を準備した(退職日まで、継続して2か月以上の加入が必要)
  • 国保を選ぶなら、14日以内の届出の準備をした(福山市の例)
  • 開業届と、青色申告承認申請書の準備をした
  • 住民税の扱い(一括徴収か、普通徴収か)を、会社に確認した
  • 源泉徴収票を、会社から受け取る予定を確認した
  • 失業給付を考えている場合は、ハローワークに相談した(事業開始の翌日から2か月以内の特例)

よくある質問

退職したら、まず何をすればいいですか?
国民年金(退職日の翌日から14日以内)と、健康保険の切り替え(国保は14日以内が目安、任意継続は20日以内)が最初の期限です(日本年金機構、協会けんぽ、福山市)。
国保と任意継続は、どちらが得ですか?
人によって違います。国保税は、市区町村や、前年の所得、世帯の人数で変わります。任意継続は、退職時の標準報酬月額で決まります。自分の数字で比べてください(国保税の目安は、診断3で計算できます)。
任意継続は、いつまで入れますか?
最長2年間です。保険料を期限までに納めないと、資格を失います(協会けんぽ)。
退職日の翌日から数えるのは、なぜですか?
日本年金機構と協会けんぽの案内が、退職日の翌日から数えると、案内しているためです。会社の健康保険の資格喪失日などで、日付が変わる場合は、窓口で確認してください。
開業届は、いつまでに出しますか?
国税庁の案内では、開業した年分の所得税の確定申告期限までです。青色申告承認申請書は、別の期限があります(開業届の出し方、青色申告承認申請書の出し方)。
住民税は、どうなりますか?
退職すると、原則として、残りを納付書で自分で納めます(普通徴収)。退職の時期などで、最後の給与から一括徴収される場合があります(神戸市の案内を例に整理)。お住まいの市区町村で確認してください。
会社の源泉徴収票は、必要ですか?
確定申告で、会社員の給与の金額と、源泉徴収された税額を入れるために使います。添付や提示が必要かどうかは、この記事では確認できていません。確定申告の手引きで確認してください。
失業給付を受けながら、事業を始められますか?
基本手当は、「失業の状態」(就職しようとする積極的な意思など)が要件です。事業を始める場合の細かい扱いは、この記事では確認できていません。ハローワークで相談してください。事業を始めた人には、受給期間を先に延ばす特例があります(事業開始等の翌日から2か月以内に申請)。
健康保険に入らない期間があっても大丈夫ですか?
おすすめできません。保険証が使えない期間が生じて、医療費が全額負担になる場合があります。期限内に、手続きをしてください。

あわせて読みたい

この記事の確認方法

  • 協会けんぽ(全国健康保険協会)の「任意継続」のページの原文で、加入の条件、申出の期限(退職日の翌日から20日以内)、期間(2年)、保険料の決まり方、傷病手当金・出産手当金の扱い、国保・扶養との違いを確認しました。
  • 日本年金機構「会社退職時の第1号被保険者手続き」(記事9で確認済み)で、国民年金の手続きの期限(退職日の翌日から14日以内)を確認しました。
  • 福山市の「国民健康保険の加入手続き」(記事9で確認済み)と、「国民健康保険税について」(2026年7月7日更新)で、国保の加入手続きの期限と、所得割の計算(前年の所得)を確認しました。
  • 国税庁タックスアンサー No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」で、年末調整を受けられない場合の確定申告(還付申告)を確認しました。
  • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」の原文で、基本手当の受給要件と、事業を始めた人の受給期間の特例(申請期限を含む)を確認しました。
  • 神戸市のFAQ(退職した場合の住民税の納付)と、福山市の「給与所得者異動届出書」の様式の注記で、退職の時期による住民税の扱い(普通徴収・一括徴収)を確認しました。
  • 会社の健康保険の資格喪失日の細かい扱い、退職後の傷病手当金・出産手当金の継続給付、協会けんぽ以外の健康保険の任意継続、国保と任意継続の保険料の比較、福山市の住民税の運用、失業給付と事業開始の細かい併用、退職金の税金、源泉徴収票の添付・提示の要否は、確認できていません。
  • 確認日:2026年10月9日。

最終更新日:2026年10月9日

公式リンク(確認日:2026年10月9日)