確認日:2026年10月9日 / 対象:個人事業主・フリーランス(広島県内で事業をしている人) 制度は改正によって変わることがあります。手続きの前に、必ず自分の都道府県の公式ページで最新の内容を確認してください。この記事は税務相談ではありません。個別の判断は、県税事務所・税理士にご相談ください。
個人事業主には、夏ごろに、県税事務所から「納税通知書」が届くことがあります。個人事業税です。
個人事業税は、所得税や住民税とは別に、都道府県が課す税金です。ただし、事業主控除(年290万円)があるので、事業の所得が小さいうちは、かからないことも多くあります。この記事では、広島県の公式情報で、かかる人・かからない人、計算のしかた、納期を整理します。
この記事の読み方
- ここでは、広島県を例に説明します。広島県の公式ページにもとづきます。
- 個人事業税は、都道府県の税金です。事業主控除(年290万円)は、公式ページで確認できた43都道府県で、同じでした。
- 納期は、県によって違います。確認できた範囲では、広島県は8月と10月、ほかの42都道府県は8月と11月でした。税率・申告・窓口も、違う場合があります。自分の都道府県の「県税(都税)事務所」のページで確認してください。
- 自分の都道府県の目安は、個人事業税の診断で、43都道府県から選んで計算できます。
この記事でわかること
- 個人事業税がかかる事業と、かからない所得
- 計算のしかた(事業主控除290万円、税率)
- 申告が必要かと、納期
- 必要経費にできること、減免・猶予の情報
結論:所得が290万円を超えたら、超えた分に税率(多くは5%)がかかる。納期は8月と10月
- 計算式は、(所得金額 − 損失の繰越控除など − 事業主控除290万円)× 税率です(広島県)。
- 事業主控除は、年290万円です。年の途中で開業・廃業した場合は、月割になります。
- 税率は、第1種・第3種の多くが5%、第2種(畜産業・水産業・薪炭製造業)が4%、一部の第3種(あん摩・マッサージ・はり・きゅうなど)が3%です。
- 所得税の青色申告特別控除は、個人事業税の計算では使えません。
- 申告は、確定申告をしていれば、別の申告は不要です(ただし、申告書の「事業税に関する事項」の記入が必要)。
- 納期は、8月15日〜31日と10月15日〜31日の年2回です。
(出典:広島県「個人事業税について」)
対象になる事業(70業種)
広島県の案内によると、個人事業税は、法律で定められた70の業種に課されます。ほとんどの事業が該当するとされています。
| 区分 | 主な事業の種類 | 税率 |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 物品販売業、請負業、飲食店業、広告業、出版業、印刷業、写真業、製造業、運送業、不動産貸付業、代理業、周旋業、金銭貸付業など | 5% |
| 第2種事業 | 畜産業、水産業、薪炭製造業 | 4% |
| 第3種事業 | デザイン業、コンサルタント業、税理士業、行政書士業、弁護士業、司法書士業、社会保険労務士業、測量士業、美容業、理容業、クリーニング業など | 5% |
| 第3種のうち | あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業 | 3% |
- 非課税になるのは、林業(伐採のみを行う場合は除く)・鉱物の掘採事業、医業等の社会保険診療等による所得です。
- 不動産貸付業・駐車場業は、規模の基準があります(たとえば、一戸建住宅なら10棟以上、アパートなどは貸付部分が10以上、建築物でない駐車場は10台以上)。基準に満たない小規模な貸付は、事業として課税されない場合があります。
- 自分の事業が、70業種のどれにあたるかは、事業の内容で判断されます。ライター、Web制作、動画編集など、表にない名称の仕事は、県税事務所で確認してください(この記事では、判定できていません)。
(出典:広島県「個人事業税について」)
所得金額の計算:所得税と似ているが、違う点がある
広島県の案内では、個人事業税の所得金額は、原則として、所得税の事業所得・不動産所得の計算と同じです。
前年の事業の総収入金額 − 必要経費 − 青色事業専従者給与額(または事業専従者控除額)= 所得金額
所得税と違う点
- 青色申告特別控除(65万円・55万円・10万円)は、適用されません。そのため、所得税の所得より、個人事業税の所得のほうが大きくなることがあります。
- 青色事業専従者給与・事業専従者控除は、所得税と同じように、必要経費として引けます(15歳以上の生計を一にする親族が、専らその事業に従事している場合)。
引ける控除(個人事業税の計算で)
| 控除 | 内容 |
|---|---|
| 事業主控除 | 年290万円(事業を行うすべての個人。年の途中で開業・廃業した場合は月割) |
| 損失の繰越控除 | 青色申告者に限り、事業所得の損失を翌年以降3年間にわたって控除できる |
| 被災事業用資産の損失の繰越控除 | 震災、風水害、火災などで生じた事業用資産の損失を、翌年以降3年間控除できる |
| 事業用資産の譲渡損失の控除 | 機械、車両、備品などの譲渡で生じた損失を、その年の所得から控除(青色申告者は、翌年以降3年間の繰越も可) |
事業主控除の月割額(年の途中で開業・廃業した場合)
| 事業を行った月数 | 事業主控除額 | 事業を行った月数 | 事業主控除額 |
|---|---|---|---|
| 1か月 | 242,000円 | 7か月 | 1,692,000円 |
| 2か月 | 484,000円 | 8か月 | 1,934,000円 |
| 3か月 | 725,000円 | 9か月 | 2,175,000円 |
| 4か月 | 967,000円 | 10か月 | 2,417,000円 |
| 5か月 | 1,209,000円 | 11か月 | 2,659,000円 |
| 6か月 | 1,450,000円 | 12か月 | 2,900,000円 |
(出典:広島県「個人事業税について」)
申告が必要?(3月15日)
広島県の案内によると、次のとおりです。
- 事業所得や不動産所得が、事業主控除額(290万円)以下の場合は、個人事業税の申告書を出す必要はありません。
- ただし、損失の繰越控除を受けたい場合は、290万円以下でも、毎年、申告書の提出が必要です。
- 所得税の確定申告書や、住民税の申告書を出した人は、個人事業税の申告書は不要です。
- ただし、それぞれの申告書の「事業税に関する事項」の欄に、必要事項を記入してください。記入されていないと、個人事業税の各種控除が受けられません。
- 年の途中で事業をやめた場合(法人になった場合を含む)は、廃業の日から1か月以内に申告します(事業主が亡くなった場合は4か月以内)。
確定申告の流れは、確定申告の流れ|個人事業主の準備・提出・納付で整理しています。
納税(納期)
- 県から届く納税通知書(納付書)で納めます。
- 第1期:8月15日〜31日 / 第2期:10月15日〜31日(納期の末日が土日・祝日などの場合は、その翌日)
- 税額が1万円以下の場合は、第1期で全額を納めます。
- 年の途中で事業をやめた場合や、所得税の修正申告をした場合は、納税通知書に書かれた納期で納めます。
(出典:広島県「個人事業税について」、個人事業主の年間やることカレンダー)
負担を軽くする・困ったとき
必要経費にできる
国税庁の案内(No.2210)によると、事業税は、全額が必要経費になります。納めた個人事業税は、事業の必要経費に入れます(いつの年に入れるかなどの細かい取り扱いは、国税庁の案内で確認してください)。
災害のときの減免・猶予(広島県)
- 減免:災害で、事業用資産・住居・家財の合計価格の3分の1以上の損害を受けた場合、申請により、減免されることがあります(一定の所得以下の人に限ります)。
- 徴収の猶予:災害で財産が被害を受け、一時的に納税できない場合、1年以内(申請でさらに1年)の範囲で、猶予を受けられます。
- 災害以外の理由で、納付が難しい場合(事業の不振など)の制度は、広島県のページでは確認できていません。納期限が来る前に、県税事務所に相談してください。
窓口(福山市の場合)
- 東部県税事務所(福山市三吉町一丁目1-1)
- 個人事業税の電話:084-921-1307
(出典:広島県「個人事業税について」「災害等に係る県税の減免・猶予について」「県税事務所一覧」、国税庁 No.2210)
開業・廃業のときの届出
- 開業したとき:県税事務所に開業届(個人事業税)を出します(開業から5日以内。開業届の出し方で整理しています)。税務署の開業届とは別の届出です。
- 休業・再開・廃業のとき:休業届・再開届・廃業届があります。広島県の「個人事業税に関する手続」から、電子申請もできます。
手続きの前に確認すること
- 自分の事業が、70業種のどれにあたるか(県税事務所に確認)
- 青色申告特別控除を使わない形で、所得を計算してみた
- 確定申告書・住民税の申告書の「事業税に関する事項」を、記入した
- 損失の繰越控除を使うなら、毎年、申告書を出すつもりがあるか(290万円以下でも必要)
- 納期(8月・10月)に払うお金を、確保した
- 納めた事業税を、必要経費に入れた
- 払えそうにないときは、納期限の前に県税事務所に相談する
ケースで確認(仮の例)
※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字は、広島県の案内にある控除額と税率を使って、計算しています。実際の金額は、事業の種類や所得によって変わります。
例①:Tさんは、事業の所得金額が250万円(1年間・第1種事業)
- 所得金額 250万円 − 事業主控除 290万円 = 0円以下
- 個人事業税は、かからない(申告書も不要。確定申告をしていれば、「事業税に関する事項」を記入)
例②:Uさんは、事業の所得金額が500万円(1年間・第1種事業、税率5%)
- 所得金額 500万円 − 事業主控除 290万円 = 210万円
- 税額:210万円 × 5% = 105,000円
- 8月と10月の年2回に分けて納める
例③:Vさんは、7月に開業した。その年の事業の所得金額は300万円(6か月・第1種事業、税率5%)
- 事業を行った月数は6か月。月割の事業主控除は1,450,000円
- 所得金額 300万円 − 145万円 = 155万円
- 税額:155万円 × 5% = 77,500円
よくある質問
- 個人事業税は、いくらからかかりますか?
- 広島県の案内では、事業主控除が年290万円です。事業の所得金額(損失の繰越控除などを引いたあと)が、290万円を超えると、超えた分に税率がかかります。
- 申告書を出さないといけませんか?
- 所得が290万円以下なら、個人事業税の申告書は不要です(損失の繰越控除を受けたいときは、毎年必要)。確定申告や住民税の申告をした人も、別の申告は不要です。ただし、申告書の「事業税に関する事項」の記入が必要です。
- 青色申告の65万円控除は、個人事業税でも使えますか?
- 使えません。広島県の案内では、青色申告特別控除は、個人事業税の所得計算では適用されません。
- 納めた個人事業税は、経費になりますか?
- 国税庁の案内では、事業税は、全額が必要経費になります。
- 事業をやめたときは、どうしますか?
- 広島県の案内では、年の途中で事業をやめた場合は、廃業の日から1か月以内に申告します。県への廃業届も必要です。
- 払えそうにないときは?
- 災害の場合は、減免や徴収の猶予があります。それ以外は、広島県のページでは確認できていません。納期限が来る前に、県税事務所に相談してください。
あわせて読みたい
- トリモドシ診断|個人事業税の目安:所得と事業の種類から、税額の目安を計算(入力は送信・保存されません)
- 個人事業主の年間やることカレンダー|税金・年金の期限を月別に:個人事業税の納期(8月・10月)と、ほかの納付の時期
- 確定申告の流れ|個人事業主の準備・提出・納付:個人事業税の申告が不要になる、確定申告の流れ
- 開業届の出し方|期限・提出方法・一緒に出す届出:県税事務所への開業届(5日以内)
- 青色申告承認申請書の出し方|期限・メリット・手順:青色申告の特典と、損失の繰越し
- 経費にできる?できない?|個人事業主の必要経費と家事按分の考え方:事業税が必要経費になることと、経費の全体の考え方
この記事の確認方法
- 広島県の「個人事業税について」(2025年4月1日掲載)の原文で、対象事業と税率、非課税、所得金額の計算、損失の繰越控除、事業主控除と月割額、申告の要否、納期を確認しました。
- 広島県の「個人事業税に関する手続」で、開業・休業・廃業などの届出と、電子申請を確認しました。
- 広島県の「災害等に係る県税の減免・猶予について」で、災害時の減免と徴収の猶予を確認しました。
- 広島県の「県税事務所一覧―個人事業税」で、東部県税事務所(福山市)の所在地と電話を確認しました。
- 国税庁のタックスアンサー No.2210で、事業税が必要経費になることを確認しました。
- 自分の事業が70業種のどれにあたるか、災害以外の理由の減免、事業税を必要経費にする年の細かい扱い、他の都道府県の、税率の細かい区分や減免の取り扱いは、確認できていないため、断定せず、公式の案内を見るよう書いています。
- 診断で選べる43都道府県の公式ページで、事業主控除(年290万円)と納期(8月・11月など)を確認しました(確認した公式ページの一覧は、個人事業税の診断のページの下にあります)。
- 確認日:2026年10月9日。
最終更新日:2026年10月9日
公式リンク(確認日:2026年10月9日)
- 広島県:個人事業税について
- 広島県:個人事業税に関する手続
- 広島県:災害等に係る県税の減免・猶予について
- 広島県:県税事務所一覧―個人事業税
- 国税庁:No.2210 必要経費の知識

