医療費控除のやり方|個人事業主の計算・手順

医療費控除のやり方と計算(個人事業主の確定申告向け) もらえるもの

確認日:2026年10月8日 / 対象:確定申告をする個人事業主・フリーランス 制度の内容は、改正によって変わることがあります。申告の前に、必ず国税庁の公式ページで最新の内容を確認してください。この記事は税務相談ではありません。個別の判断は、税務署や税理士にご相談ください。

病院や薬局で医療費を払う機会が多かった年は、確定申告で医療費控除を使えるかもしれません。

この記事では、個人事業主・フリーランスの人向けに、次のことを整理しました。

  • 医療費控除とは何か、いくら戻る可能性があるか
  • 対象になるもの・ならないもの
  • 計算のしかたと、申告の手順

結論:払った医療費が一定額を超えたら、確定申告で税金が軽くなる

医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に払った医療費が一定額を超えたとき、超えた分を所得から差し引ける制度です(所得控除)。所得が減るので、税金が軽くなります。

自分で確定申告をする個人事業主は、確定申告書の中に、医療費控除の欄を入れて申告します。

対象になる人・お金

次の条件を満たす医療費が対象です。

  • 自分、または生計を一にする配偶者・親族のために払った医療費
  • その年の1月1日〜12月31日に、実際に払った医療費(未払いの分は、払った年の分になります)

控除額の計算式

控除額(最高200万円)は、次の式で計算します。

(実際に払った医療費の合計 − 保険金などで補てんされる金額) − 10万円

  • 総所得金額等が200万円未満の人は、「10万円」ではなく、「総所得金額等の5%」を引きます。
  • 「保険金などで補てんされる金額」には、生命保険の入院給付金や、健康保険などで支給される高額療養費・出産育児一時金などがあります。
    • 補てんされる金額は、その給付の対象になった医療費の金額を上限に差し引きます。引ききれない分を、他の医療費から差し引くことはしません。
    • 高額療養費で戻ったお金は、医療費の合計から差し引く必要があります(関連記事:高額療養費制度の申請の流れ)。

計算の例

  • 1年間に払った医療費:30万円
  • 高額療養費などで補てんされた金額:0円
  • 控除額:30万円 − 10万円 = 20万円
医療費控除の計算の流れ(仮の例)1年間に払った医療費28万円から、補てんされた額0円と10万円を引くと控除額は18万円。税率10%をかけると、税金が軽くなる目安は約1.8万円。計算の流れ(仮の例)総所得金額等が200万円以上・所得税率10%の場合1年間に払った医療費の合計28万円−保険金などで補てんされた額(高額療養費など)0円−基準の額(総所得金額等が200万円未満は、その5%)10万円=医療費控除の額(上限200万円)18万円×所得税の税率(仮の例)10%=所得税が軽くなる目安約1.8万円※復興特別所得税や、住民税への影響は別です
医療費控除の計算の流れ(仮の例)

いくら戻る?(目安)

控除額に、自分の所得税の税率をかけた額が、所得税が軽くなる目安です。

課税される所得金額 所得税の税率
195万円以下 5%
195万円超〜330万円 10%
330万円超〜695万円 20%
695万円超〜900万円 23%
900万円超〜1,800万円 33%
1,800万円超〜4,000万円 40%
4,000万円超 45%

例:控除額が20万円で、税率が10%の人 → 所得税で約2万円の減税(目安)。

  • 別に、復興特別所得税(2.1%)がかかります。
  • 住民税にも影響します。総務省の案内では、住民税の所得割は、課税所得金額に10%をかけて計算し、所得控除の種類は基本的に所得税と同様です(ただし、所得税の方が控除額が大きいものが多いとされています)。医療費控除の金額を使った住民税の目安は、トリモドシ診断で計算できます。実際の金額は、お住まいの市区町村の計算で決まります。
  • 実際の金額は、あなたの所得の状況によって変わります。

(出典:国税庁 タックスアンサー No.1120、No.2260)

対象になるもの・ならないもの

国税庁の案内では、治療や療養のために、一般的な水準を著しく超えない範囲の費用が対象です。

対象になるものの例

  • 医師・歯科医師による診察・治療の費用
  • 治療や療養に必要な医薬品の購入費(風邪薬など)
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術(治療に必要なもの)
  • 看護師などによる療養上の世話
  • 助産師による分べんの介助
  • 介護保険のサービスのうち、一定のものの自己負担額
  • 通院のための公共交通機関の費用
  • 診療・治療のために必要な、義手・義足・松葉杖・補聴器・義歯・眼鏡などの購入費
  • 妊娠と診断されてからの定期検診・検査費用、通院費

対象にならないものの例

  • 健康診断の費用(原則)、医師への謝礼
  • ビタミン剤など、病気の予防や健康増進のための医薬品
  • 疲れを癒す、体調を整えるといった、治療に直接関係のないマッサージなど
  • タクシー代(電車やバスが利用できない場合を除く)
  • 自家用車のガソリン代や駐車場代
  • 出産のために実家へ帰る交通費
  • 入院時の寝巻・洗面具などの身の回り品

(出典:国税庁 タックスアンサー No.1122、No.1124)

申告の手順

  1. 領収書や明細を整理する(1月1日〜12月31日に払った分)
  2. 「医療費控除の明細書」を作る。「医療費通知」(健康保険から届く医療費のお知らせ)があれば、明細書の記載を簡単にできます。
  3. 確定申告書に、医療費控除を入れて申告する(所轄の税務署へ。e-Taxも使えます)
  4. 領収書は、確定申告の期限から5年間は保管しておきます。税務署から、見せるよう求められる場合があります。

マイナポータル連携を使うと、医療費控除に使う「医療費通知情報」をマイナポータル経由で取得して、確定申告書を作るときに、該当する項目に自動で入力できます(国税庁)。

  • 医療費通知情報は、毎年2月9日以降に取得できます。
  • 取得できるのは保険診療分が中心で、はり・きゅうなどの施術費用や、整骨院・接骨院の柔道整復療養費など、取得できないものもあります。取得できない分や、通知の金額と実際に払った金額が違う場合は、領収書で入力します。
  • 家族の分は、事前にマイナポータルで代理人の設定をすると、まとめて取得できます。
  • 領収書の枚数が多いときは、「医療費集計フォーム」に入力して読み込む方法もあります。
  • 画面の細かい操作は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や、「動画で見る確定申告」で確認してください。

(出典:国税庁「医療費控除を受ける方へ(令和7年分 確定申告特集)」、確定申告書等作成コーナー「マイナポータル連携を利用した医療費控除の入力について」)

申告し忘れたら?

還付を受けるための申告は、翌年1月1日から5年間、提出できます(国税庁の案内)。ただし、すでに納めた所得税がない場合は、申告しても還付はありません。

個人事業主が気をつけること

  • 国税庁の案内では、家事上の費用は、必要経費になりません。たとえば、自分や家族の医療費は、事業の経費ではなく、家事上の費用として考えられ、この記事で説明している医療費控除の対象になります(自分と、生計を一にする配偶者・親族のために払った医療費が対象)。
  • 一つの支出が、家事上と業務上の両方にかかわる費用(家事関連費)は、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限り、必要経費になります。
  • 事業の支出と医療費を混ぜずに、記録を分けておくと、申告のときに迷いません。どちらに入れるか迷うときは、国税庁の案内か、税務署、税理士に確認してください。

(出典:国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」、No.1120)

セルフメディケーション税制とどちらが得?

医療費控除には、セルフメディケーション税制という特例があります。

  • 対象:ドラッグストアなどで買えるOTC医薬品のうち、対象のもの(領収書に表示があります)
  • 控除額:対象の医薬品の購入額が12,000円を超える部分(上限88,000円)
  • 条件:健康診断や予防接種など、一定の取組をしていること
  • 通常の医療費控除とは、どちらか一方だけ選べます(併用はできません)。選んだあとで変更することはできません。

病院にかかった医療費が多い年は、通常の医療費控除のほうが有利になる場合が多いと考えられますが、金額によって変わります。両方を計算して、選んでください。

まとめ

  • 1年間に払った医療費が一定額を超えたら、確定申告で医療費控除を使える
  • 控除額 = (医療費の合計 − 補てんされる金額) − 10万円(または総所得金額等の5%)。上限は200万円
  • 高額療養費などで戻った分は、差し引く
  • 領収書は5年間保管。還付の申告は5年間できる
  • セルフメディケーション税制とは、どちらか一方を選ぶ

ケースで確認(仮の例)

※この節は、実在の人物の体験談ではありません。仕組みを分かりやすく説明するための仮の例です。数字は、公式の計算式で計算しています。実際の金額は、状況によって変わります。

例①:Cさん(個人事業主・総所得金額等が200万円以上・所得税率10%)

  • 1年間に払った医療費:本人15万円+生計を一にする家族13万円=28万円
  • 保険金などで補てんされた金額:0円
  • 控除額:28万円−10万円=18万円
  • 所得税が軽くなる目安:18万円×10%=約1.8万円(復興特別所得税や、住民税への影響は別)

例②:Dさん(同じ条件)が、入院で高額療養費の対象になった場合

  • 入院で、窓口で払った額:30万円。高額療養費で、207,060円が戻った(記事1の例と同じ数字)
  • 実質の負担:300,000円−207,060円=92,940円
  • 補てんされた金額を差し引くと、控除の計算に使う医療費は、92,940円
  • ほかに、通院費など医療費が5万円あったとすると、92,940円+50,000円=142,940円
  • 控除額:142,940円−100,000円=42,940円
  • 所得税率10%なら、所得税が軽くなる目安は約4,294円

高額療養費などで戻ったお金は、差し引いて計算する点が、ポイントです。

よくある質問

いくら戻りますか?
控除額に、自分の所得税の税率をかけた額が、所得税が軽くなる目安です。住民税は、控除額に10%(所得割の標準税率。総務省)をかけたものが目安ですが、実際の金額は、お住まいの市区町村の計算で決まります。
家族の医療費も対象ですか?
自分と、生計を一にする配偶者・親族のために払った医療費が対象です。
領収書は提出しますか?
確定申告書には「医療費控除の明細書」を添付します。領収書は、期限から5年間は保管し、求められたときに示します。
申告を忘れたら、いつまでできますか?
還付を受けるための申告は、翌年1月1日から5年間できます。ただし、すでに納めた所得税がないと、還付はありません。
医療費控除とセルフメディケーション税制は、両方使えますか?
どちらか一方しか選べません。選んだ後の変更もできません。

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この記事の確認方法

  • 国税庁のタックスアンサー(No.1120、1122、1124、1129、2030、2260)を確認し、計算式、対象、手続き、還付申告の期間、税率を記載しています。
  • 事業の経費との区別は、国税庁のタックスアンサーNo.2210で確認しました。マイナポータル連携と住民税の概要は、国税庁・総務省のページで確認しました。マイナポータル連携の画面操作の細かい手順と、住民税の具体的な金額は、確認できていないため断定せず、公式の案内を見るよう書いています。
  • 確認日:2026年10月8日。

最終更新日:2026年10月8日

公式リンク(確認日:2026年10月8日)